WillowMarraisさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

WillowMarrais

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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

5.0

完璧に没入し時間感覚を狂わされた。
日常とその静かで劇的な崩壊を映し出すだけで滲み出る狂気を感じてしまう。
終わった頃には3時間半経ったはずなのに
さっき始まったかのようなタイムリープ感があった。
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

4.5

なぜか定期的に見たくなる。
メタファーもなければ、マジョリティの話でもないんだけど、どこか自分にとって芯を食ってるような映画。そこにはリアリズムがある。

嘘を嘘であると告白できたり
他者との間合いを
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私たちのハァハァ(2015年製作の映画)

3.8

あっけない幕切れ。
移動することで堕落し(もしくは大人の世界へ踏み入れ)ていきながら、清々しい最後を迎える。
黒沢清『アカルイミライ』を想った。

『推し燃ゆ』感もありながら
本質的には、高校生はズレ
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フェイシズ(1968年製作の映画)

4.4

めちゃくちゃうるさい映画。
顔も声もうるさい。

喜怒哀楽に塗れた表情の変化や激しい動線に痺れる。パンパンパンと顔が移っていく。
とても体力は使ったが、映画の見方が少し変わるような気がした。

白いリボン(2009年製作の映画)

4.4

ベルイマン『冬の光』
ブレッソン『田舎司祭の日記』
マルホウ『異端の鳥』
が系譜としてありそうだなと感じた。

ここにきて戦前の話をハネケが撮るのが意外ではあったが、100年前を描くとしても変わらない
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屋敷女(2007年製作の映画)

4.4

ノーカット完全版を鑑賞。

ずっとバトル?してるからあっという間だった。
かなりゴアで血の量だけでも視覚的にえげつない。
これはR指定ですわ。
一般人(殺し屋じゃない人)が殺り合うとこんな感じなのかな
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.5

束の間の逃避行に銃とモーテルと車。
出口のなさが自由に繋がるのがいいね。

映画的にもアメリカ映画に目配せしながら
己のインディ感を突き通すのが素晴らしい。
音楽の使い方が巧みだし
田舎の話なのも、ワ
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

3.2

ディズニー仕込みの技術と
中村佳穂はよかった。

公開前の記者会見で声優(俳優)陣も
「中村佳穂が素晴らしい」としか言ってなくて、まんまその通りだった。

ハイテンション(2003年製作の映画)

3.0

それなりにゴアで
それなりにサスペンス。
フレンチホラーってよりも
アメリカのホラーな感じ。

チェンソーもっとぶん回してくれ。

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

4.5

ビートジェネレーションに対する憧れがあるように、ヒッピー文化に対する憧れはある。
そういう憧憬を満たしてくれる映画のようだ。
そしてパラノイアあってこそ。
『Under the silver brid
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籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.9

だいぶコメディだった。

ハネケ『べニーズビデオ』『セブンスコンチネント』『タイムオブザウルフ』をミックスしたような感じ。
ストレートに受ければ、ヤバい家庭の話。

ハネケは避けられないディスコミュニ
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オカルト(2008年製作の映画)

4.5

モキュメンタリー。
ドキュメントから民俗学や日本神話?などを経由してテロリズムに繋げてくるぶっ飛び作品。
『カルト』に出てくるウニャウニャも見れる。
ある種の高揚感の中で開放されていく感じがいい。最後
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モード家の一夜(1968年製作の映画)

4.8

冬のロメールもいいな。
信条や主義がどうのこうのいいつつ
「賭け」てしまうところがロメール初期から貫かれているのがわかる作品。
モード家での会話劇が楽しい。

一室での会話劇の様は
濱口竜介「PASS
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ウィッチ(2015年製作の映画)

4.2

上質なフォークテイルホラー。

英文学やイギリスの歴史に基づいた入念な研究と表現がびんびん伝わってくる。『ミッドサマー』でも感じたあれだ。衣装や家、畑、山羊の小屋のデザインから、なにから。
A24のホ
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THE DEPTHS(2010年製作の映画)

4.2

師である黒沢清の初期、影響をもろに感じた作品でした。
あの「軽さ」や「無機質さ」を憑依させながらヤクザ映画やサスペンスではないところにもっていくのがよかった。
性描写はあまり慣れていないと思われるが、
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霊的ボリシェヴィキ(2017年製作の映画)

4.5

高橋洋のメルクマールとしてこの作品は優れていると思う。
それは『恐怖』でもみせた、恐怖や霊に対する根源的接近であり、霊を召喚する儀式の構築である。「語ること」で行うという古典的ながら、前衛的な手法。
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マザー!(2017年製作の映画)

3.1

同じ常識共有してないんだっていう悲しみと虚しさと怒りはとりあえずわかる。
不条理映画は好きだし
メタファーもいいんだけど、自分には合わない映画だった。ハネケの映画ならこうは思わないはずなんだけど。
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親密さ(2012年製作の映画)

5.0

圧倒されてしまった。
映画なのか演劇なのか、はたまたドキュメントなのか。
言葉がズンズンとのめり込んできて
ラストシーンでは涙。

演劇に反映された彼らの生活や言葉が
まさに交差する「ラブレター」であ
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カルト(2012年製作の映画)

4.0

『来る』のために再見。
モキュメンタリー霊能バトルもの。
初見の頃と違いモキュに対し理解が深まったからか楽しめた。
霊能番組を作るというメタ視点からはじまり、フィクション内フィクション内ノンフィクショ
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来る(2018年製作の映画)

3.9

イントロのサントラKing Kruleでアガってしまう。
豪華キャストなのに、半分くらい怪演状態。
特に松たか子かっこいい。
霊能バトルものなのに、やけにスタイリッシュなカット割だ。
『空中庭園』と同
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クレールの膝(1970年製作の映画)

4.7

色彩豊かで、自然豊か。
水脈や木々の揺れが美しく
それを写すカメラが素晴らしい。

会話劇としても単なるロリコンものではなくて、「実験」という粋のきいた?設計のもと、少女とイケオジの話になる。

恋や
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プティ・カンカン(2014年製作の映画)

3.7

いわゆる現代の問題を孕んだコンシャスな作品ではあるものの、ぬるりとしたテンポ感のあるブラックコメディサスペンスだった。もうひとつのツインピークスって言われるのはわかる。

不気味な雰囲気で、解決すると
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街の上で(2019年製作の映画)

4.8

カルチャーの町、下北沢の群像劇。
本のカバーは取って読むスタイル。

美学的に描き切る必要は無いと思ってしまうこともしっかり(演劇的に)描くのが今泉力哉監督。オフビートに楽しませてくれる。

今作は全
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田舎司祭の日記 4Kデジタル・リマスター版(1951年製作の映画)

4.4

靄のかかったようなモノクロの映像美。
リマスターのせいだろうか。

ベルイマン『冬の光』とどこかしら共通するテーマ。

不条理な状況に溜息をつきながら
主人公と観客が同化する。
混濁していく意識までも
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他人の顔(1966年製作の映画)

5.0

なんとも素晴らしい作品だ。
カメラワークや造形がおそろしいほど素晴らしい。
仮面、レントゲンでの会話、診察室の造形、耳の彫刻、無数の顔のない人たち、ドアのディゾルブ、ヨーヨー娘、武満徹のワルツ。
勅使
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幻影(2005年製作の映画)

4.0

クィア作品かと思ったら
移民難民問題を経由し
パラノイアに飲み込まれる感じだった。

希望と絶望のシーソー。
不気味な後味と反復。
極めてヨーロッパ的な文法はハネケを思い起こさせた。

またリンチのよ
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サッドティー(2013年製作の映画)

4.3

今泉力哉
そろそろ見ようと思いこれをチョイス。
最初の長回しから好みだった。
鳩からスタート。
久しぶりに笑いながら映画をみた。
狭い世界の群像劇でどこから切り張りしても面白くなるんだろうなあ。
「ふ
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コレクションする女(1967年製作の映画)

4.4

フランスのバカンスは
大体ロメールのイメージが強い。
滑稽さが一周回ってたまらない。
コレクションする女とされたくない男。
緑のニット。舐めるカメラ。

ラストシーンがよい。

永い言い訳(2016年製作の映画)

3.8

だいぶ前にみた。

カリカチュア的な対比だなと感じたし
つかみもオチ?もあんまり好みではないが
ひとりひとりの人物描写がよかった。
まあ、どっちにもベットできないかなあと思いながら見てた。

実存的に
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燃えつきた地図(1968年製作の映画)

4.5

安倍公房との最後のタッグ。
原作通り、オースターの如くパラノイアに陥る探偵もの。

『砂の女』や『他人の顔』のような構造美は退隠し、カラーによる視覚効果が印象的に使われる。

とにかく勝新太郎。
彼の
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逃げた女(2019年製作の映画)

4.8

ミニマリズムの中のズレ。

ホンサンス自身への言及なのか
観客になげかけているのか
その両方なのか。
映画というメディウムを自覚的に意識する様に脱帽する。
ぬるっとしたズームアップを見て
ああホンサン
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砂の女(1964年製作の映画)

5.0

クライテリオンのBDにて。
『砂の女』は何度も読んだが
映画は空想してたイメージとそっくりだった。
素晴らしい傑作だ。

なんとも美しい砂丘に、砂の川が流れ、砂の霧が立ち込め、砂の陽炎が揺れる。
汗と
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淵に立つ(2016年製作の映画)

4.0

さすがの浅野忠信。
彼の読めなさは『Focus』や『Helpless』に通ずるものがありますね。
素晴らしい演技。
他の皆さんも素晴らしかった。

モチーフの反復は動線として面白いのですが、個人的には
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悪魔(1972年製作の映画)

4.4

悪魔が人間を唆し『浄化』を行なっていく。
開幕早々全員『ポゼッション』状態からスタートし、主人公の痙攣も次第に強くなる。剃刀ひとつ片手に男は身の回りの人間から殺していく。最後の最後にオチ?がつくのだが
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ゆれる(2006年製作の映画)

4.4

兄弟の微妙な距離感がうまく描かれてる。
大人になって、離れ離れの間に、静かに変わっていく関係性。
実は兄弟じゃないかもね、なんて思ってしまうこともあるんだろうな。
最後までゆらゆらしてた。
川の巨石が
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PASSION(2008年製作の映画)

5.0

心情は演者に侵食して
其々を怪物のように飲み込んでいった。
お前は誰だ?とナイフで突き立てられる。
「言葉と行動」のみで
ここまで見せつけられたのは久しぶりだ。

単なる色恋物語ではなく
言葉と行動の
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