意地悪な見方をすると「タダのLGBT映画ではもはや注目を集めなくなっている昨今、主人公に視覚障害をプラスした脚本を挙げてきた」と、言えなくもない。
テーマが多過ぎる分、それぞれに深みが足りず、浅く切り>>続きを読む
相変わらず絵はきれいだが、今回はこれ見よがしなところがなく、複雑な脚本に集中している感じ。ここまでゴチャゴチャにしなくても…と思うが、邪気は強い監督だけに、サイコホラーを撮るとこうなるのだろう。
病>>続きを読む
ファンタジックな世界を(ハムスターの声は、なんとイザベラ・ロッセリーニ!)、時にホラー演出まで駆使しながら表現する手腕に長けていて、物語としてもきちんと成立している。
絵もきれい。特に夜明けのツリーハ>>続きを読む
オープニングから中2男子のプリケツがエロいなとか思っていたら(後年ジャニーズ所属→ゲイバー勤めした方だそうです)、彼をひとつの焦点に年上の女たちが展開する、ドロドロの愛憎絵巻。
あくまでマドンナの位>>続きを読む
ひと組のゲイカップルが脚本の主軸に置かれた映画だが、ゲイ観衆には『隠れホモの夫に捨てられたヒステリックな妻』の姿が、一番ウケそう。
実際、コメディから悲劇的な演出にまで見事応えているシェ・インシュエン>>続きを読む
サディストとマゾヒストが表裏一体であることが端的に伝わってくる作風で、ゾクゾクした。
序盤に1ヶ所ホラーぽい演出が見られたが、全体的には扇情的になり過ぎず、品格を残している。田舎の農場という舞台も面>>続きを読む
正直、またこういう映画がひとつ…、という感じ。
本作のようなラブストーリーが世界中に何千、何万とあったのはわかるし、決して忘れてはいけないものであることもわかる。
監督や製作者が強い思い入れを以て原>>続きを読む
自分自身がビートニク文学の影響は受けていないため、またヒップホップと同じく「母国語でないがゆえ、真価を計り切れないジレンマ」も抱えているため、見切り発車状態で鑑賞開始。
だが後に評価されることとなる若>>続きを読む
実話ベースの本作で最も恐ろしいのは「同性愛矯正施設を、同性愛者自身が主宰していた」という点であろう。
監督自身がその難役に挑んでいるが、内なる自己/同族嫌悪を最悪のかたちで発揮した人物が近年のアメリカ>>続きを読む
キャストはイギリス出身の人気俳優で固められており、カメラも多く、大作の匂いが漂ってくるが、あくまで「脚本勝負」という英国風の心構えに好感を憶える(脚本はアメリカ人で、監督はノルウェー人だが)。
特に知>>続きを読む
まずタイトルロールで5回ぐらい鳥肌が立つ。バーナード・ハーマン×ヒッチコックといえば『サイコ』が筆頭に挙がりそうだが、本作の扇情ぶりも凄い。
あっさりネタバレさせる展開に少し興醒めたものの、キム・ノ>>続きを読む
クライマックスからラストまでの展開には夢があり、観客を先導する「映画としての存在意義」は、充分に感じられた。
現実はその手前で、近親憎悪と自己嫌悪の連鎖を断ち切れずにいる。
主人公のふたりにはオネエ>>続きを読む
付け足しのようなエンドロールの映像が、最も良かった。
バズ・ラーマンとか、ジェシカ・ビールとか、しょ~もないハリウッドハイプの姿などどうでも良いが、ブランドが選んだ相手であるのなら、口の挟みようもな>>続きを読む
「ゲイ同士でしかも幼馴染だからといって、恋愛が成就するわけではない。むしろ心と身体が分離しがちなゲイにとって、安定は必ずしも万能ではない」という脚本はデリケートで、なかなか新鮮。ともすれば不明瞭に映り>>続きを読む
作品中4分の3ぐらいは、生ぬるい喜劇が続く。俳優たちの演技は「良い芝居」と言い難く「こんなカットでオッケーなんかいな」と、やや呆れていたのだが、残り4分の1で一気にシリアスなヒューマニズムへ持ち込む手>>続きを読む
映画『ホイットニー』について「暗い。もっと彼女の良い面を伝えて欲しかった」という趣旨の意見を挙げていた人がいたのだが「え~、ホイットニーのヒット曲なんて、もうイヤという聞かされたじゃないのよ」と思って>>続きを読む
青春映画でありながら、青臭い恋愛ではなく母と(ゲイの)息子の相克を主題に据えている。
構成には散漫で強引なところがあり、母親の描写は甘い気もするが、何と言っても赤子のような隙と愛らしさ、そして蠱惑的>>続きを読む
NYのイタリア系コミニュティが舞台で、90年代米映画の雰囲気が濃厚に漂う。
群像劇でそれなりに楽しめるが、各々のエピソードの収束具合はやや散漫で、中にはただの時間稼ぎにしか過ぎなかったものも。
演出が>>続きを読む
しばらく作品が途絶えていたので心配していたのだが(『オールドボーイ』はどうも触手が動かず、観ていないのだけど)、本作は久々に気合いが入っている感じ。近年の政情や事件が、監督を大いに刺激したのかもしれな>>続きを読む
舞台向けの脚本か、舞台劇の映画化のどちらかという感じ。つまり台詞が多いけど、抑制とシニシズムは適度に利いているので、ぐったりはしない。各キャラクターに充てられたスタイリングも、印象的。そして密室劇だか>>続きを読む
長年の抑圧からエゴマニアならざるを得ないトランスを描いた『私はロランス』は、ユーモアが足りず助長だったので「この監督の映画、好きじゃないわ~」と思っていたのだが、本作は普遍的な「二十代の恋愛」というテ>>続きを読む
初期作品の『最も危険な愛し方』はあまり面白い映画でなかったと記憶していたのだが、いつの間にかアメリカで成功していたメキシコ人監督の作品。
少数民族として、そして住み込みの召使いとして肩身を狭くしなが>>続きを読む
米ゲイ・コミニュティから『総好かん』を喰らった作品で、ネット上で紹介される『おすすめLGBT映画100選』などでも、ランキング圏外という嫌われ方(『ムーンライト』が1位だったりする)。
同性愛を長ら>>続きを読む
アメリカの『ヴェガス・イン・スペース』と双璧をなす、90年代の国産ドラァグクイーンズ・インディフィルム。
ダラダラ長いイメージ映像が多い、泥だんごを捏ねるようなチープさが横溢…、しかし、素晴らしくク>>続きを読む
事件発生当時、結構話題になったゲイポルノ業界の血生臭い醜聞事件をベースとした映画(日本版の『ローリング・ストーン』にも特集翻訳記事が載っていたほど)。
クリスチャン・スレーターとかジェームズ・フランコ>>続きを読む
脚本(原作)はかなり急進的で、やや不自然な家族の在り方を提示している。
しかし演出は、60年代間近の作品とは思えないほどスローモー。物干しで涙に暮れる淡島千景へ、わざわざ3つも段階を踏んでカメラがにじ>>続きを読む
邦題に捻りがないせいか、あまり期待はしていなかったのだが、楽しめた。
カミングアウトは、開始後すぐ。
本作の脚本は家族でなく、同性の親友たちがどう受け止め、どう行動するかに焦点を当てている。
ゲイはど>>続きを読む
あまりに素晴らしすぎて興奮を禁じ得ない。
先の見えない脚本、一様に後ろ暗いノワールな登場人物たち、正しくテオレマな『オム・ファタール』が放つ慎ましくも確かなゲイ要素、そして馬と計画停電を勇敢に操る映>>続きを読む
赤線の実態を描いた映画は数あれど、本作は「売春禁止法施行後の女たちを追う」という主題を持つアグファカラーの意欲作として、史料価値が高い。
京マチ子はネオレアリズモ調の陰鬱な脚本や、一歩踏み込んだ演出>>続きを読む
監督の初作品だからか、編集の小細工やピントのズレた演出が目立つ。また情緒不安定なヒロインの狂騒が相乗効果となり、全体が安っぽく観えている。
終盤のアンジェリーナの熱演は買えるが、レズビアンでマニッシュ>>続きを読む