この映画、現在韓国で流行りのフェミニズム映画ではない。一見すると、クレジットカード会社の有能なオペレータージニが孤独な自分の生活を見直し、心を開いていくヒューマンドラマのような体裁をしているが、もっと>>続きを読む
『捜索者』とともに、本作をジョン・フォードの代表作にオス人は多い。モニュメント・バレーの岩山は一切出てこないのだが、『捜索者』と本作の間にはある“共通点”を見出だすことができる。“描かない美学”とも言>>続きを読む
この西部劇には、派手なガン・アクションやスリリングな馬上チェイスがほとんど出てこない。正確にいうと、他の映画よりもなぜか駆け方が早く見えるお馬さんのシーンが、最初の方にチョコっとだけ登場する。後は三人>>続きを読む
他人が書いた小説を原案にした初めての試みも、ワーナーブラザースというハリウッドメジャーが配給元になったことも、西川美和にとっては全てが裏目に出てしまった失敗作であろう。作家佐木隆三の下に「自分をモデル>>続きを読む
DICTUM AC FACTA。廃坑跡の坑木にラテン文字で「言ったこととやったこと」と記されている。「理想と現実」とでも訳せばいいのだろうか、アメリカ大恐慌時代の架空の村ドッグヴィルに,ギャング一味か>>続きを読む
無理やりなタイトル、きっつい訛り(津軽弁&鹿児島弁)の田舎娘、言語学教授、そして、極めつけはミュージカルという飛び道具まで使っている、変てこりんな映画なのだ。これはなんかあるなとWikipediaを調>>続きを読む
ホン・サンスによってほぼ同時期に撮られた『草の葉』『川沿いのホテル』は、2018年に韓国で同時公開されたという。つまり、2本ともテーマは同一で、1本観ただけでは分かりにくいけれど、2本とも観ればすんな>>続きを読む
ホン・サンスによってほぼ同時期に撮られた『草の葉』『川沿いのホテル』は、2018年に韓国で同時公開されたという。つまり、2本ともテーマは同一で、1本観ただけでは分かりにくいけれど、2本とも観ればすんな>>続きを読む
「チャットGPT」を開発したオープンAI社を電撃解任されたCEOが、マイクロソフトによって速攻ヘッドハントされるニュースが示しているように、あのGoogleでさえその地位を奪われかねない現在大注目の最>>続きを読む
フィンランド人監督ユホ・クオスマネンのインタビュー記事を読むと、本作は単純なレイルロード・ラブコメではなさそうなのである。おそらく、ロシアがウクライナに侵攻し、対露感情が一気に悪化する以前のフィンラン>>続きを読む
「一番高い山を目指す者と8つの山を巡る者では、どちらが多くのことを学べると思う?」古代インドのジャイナ教や仏教の世界観に基づいたこの質問は、監督のフェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲンと脚本を担当した>>続きを読む
60年代ニューヨークのリトル・イタリーが舞台。一時はカトリックの修道士を目指していたマーティン・スコセッシの自伝的作品と言われている。若きハーベイ・カイテル演じる下っ端ヤクザ・チャーリーがおそらくはス>>続きを読む
嘘を言ってはいけない。本作をご覧になって感動できる日本人なんているのだろうか。私が思うに、劇中登場人物たちがカメラ目線で突如歌い出す、40~50年代の映画音楽や英国の古いヒットソングを知らないと、ジャ>>続きを読む
ファシスト党から暗殺指令を受けたマルチェッロ(ジャン・ルイ=トランティニャン)と婚約者であるプチブル娘ジュリアが宿泊するパリの四ツ星ホテル・オルセーに実際宿泊したことがある。だがおかしいのだ。映画では>>続きを読む
(あらすじ)
妻に先立たれ、男手一つで息子を育ててきた金沢の教師・堀川(笠智衆)は、修学旅行の事故の責任をとり辞表を出す。息子を連れて故郷の長野県に戻った堀川は村役場で働くことになる。息子の良平(津田>>続きを読む
この映画はエンドロールから始まる。エンドロール中に席を立つ(私のような)不届き者に対する警告だという。考えてみれば、黄金期に作られた映画はすべて俳優、スタッフ、監督の名前が映画冒頭にクレジットされてい>>続きを読む
えっ~ここで終わるのマジで....起承転結を映画シナリオの基本とするならば、ケリー・ライカートの作品は常に“結”がすっぽりと抜けて落ちている。それゆえ、観客は映画の中に放り出されたままふわふわといつま>>続きを読む
ヨルゴス・ランティモス自身の脚本ではないため、やる気半分のやっつけ映画だったのではと、勝手に想像して今まで鑑賞するのを控えていた1本なのです。アン女王の寵愛を受けるため側近の座を巡って2人の女官が醜い>>続きを読む
完璧主義の殺し屋(マイケル・ファスベンダー)が暗殺に失敗、雇い主から受けた報復への仕返しを殺し屋が実行していく、という非常に単純(シンプル)なストーリーだ。『ファイトクラブ』のようなオチを期待していた>>続きを読む
成瀬巳喜男と川島雄三が協同監督をつとめた『夜の流れ』は、過去にしがみつく女と未来に対して前向きな女を対称的に描いたなかなかの佳作だった。『全裸監督』制作時に知り合ったという内田英治と片山慎三両監督によ>>続きを読む
こんな不謹慎なアラブ人ばかりだったら、🇵🇸の人々もガザであんな悲惨な目に合わずにすんだのではないだろうか。なにせ本作の主人公アラブ系の移民にも関わらず肉屋を営む根っからの肉好き。成長ホルモンを使ってい>>続きを読む
Z世代: 生まれた時点でインターネットが利用可能であったという意味でのデジタルネイティブ世代としては最初の世代となる。デジタル機器やインターネットが生まれた時から当たり前のように存在し、インターネット>>続きを読む
主役よし、設定よし、出だしよし。しかし、コメディからヒューマンドラマへのシフトチェンジを誤ったがために、アル・パチーノ主演の名作『セント・オブ・ウーマン』になり損ねた1本だ。60~70年代のセックス・>>続きを読む
ネイティブの皆さんが円陣になって踊る〈花〉に見たてたラストの真俯瞰カットを見る限り、本作はその昔オイル利権を握っていた世界一裕福な先住民オーセージ族を次々と殺めていくホワイトたちの物語である。資産家の>>続きを読む
ナイジェリア出身の監察医が、多発する元NFL選手不審死の原因を突きとめる医療サスペンス。紆余曲折の末、選手同士の激しいタックルにより生じた“脳震盪(映画タイトル)”が原因であることが判明する。新しい病>>続きを読む
「この映画は日本へのラブレターなんです」ギャレス・エドワーズのこの発言は、衰退著しい日本に対する単なる社交辞令なのだろうか。お隣の中国に比べるとマーケットへの影響力は格段に見劣りするものの、なぜか本S>>続きを読む
『バニー・レイクは行方不明』同様、凝りに凝ったタイトルバックのイラストは、プレミンジャー作品ではお馴染みのデザイナーソウル・パスによるものだろう。そして、劇伴はデューク・エリントンのジャズピアノ。本人>>続きを読む
1986年といえば日本のバブル絶頂期にあたっている。ゆえに劇伴で流れるポップスは、『フットルース』や『フラッシュダンス』を思わせる軽―いノリのシャカついた楽曲である。もしかしたら“マハラジャ”や“ジュ>>続きを読む
メリル・ストリープの演技力だけで辛うじて映画足り得ている本作は、冷静に考えれば、どこの馬の骨だかわからない世捨人カメラマンと欲求不満の人妻が、家族のいない隙にどろどろの不倫沼にはまりこむしょうもないメ>>続きを読む
ヨボヨボである。白人は老け込むのが早いと言われているけれど、往年のダーティ・ハリーの白髪も半分抜け落ち、身体中シワとシミだらけ、腰はグニャリと曲がっていて、歩くのもやっとこといった有り様だ。元ロデオ・>>続きを読む
ロバート・ボルトが書いた戯曲を映画化した本作は、まるでシェイクスピア悲劇を観ているかのような格調の高さを感じる。監督フレッド・ジンネマンが大好きな“信念をつらぬく男”トマス・モアを演じたポール・スコフ>>続きを読む
科学的考証を全く無視したイベントが次から次へと発生するため、観ている人の突っ込む意志が途中で萎えてしまう1本だ。入院中でヨボヨボの元大統領(ビル・プルマン)に、人種の壁を越えて世界がワンチームになれた>>続きを読む
フランス新進気鋭のフェミニズム監督セリーヌ・シアマだけに、《祖母、母、娘》の女三代に渡る喪失と癒しの物語と聞いて、またまたマチズモをねちっこく口撃するいやらしい作品を撮ったのかと勝手に予測したのだがさ>>続きを読む
命の次に大切なコーヒーを切らすとは何事だ、さすがのマミーだって許すわけにはいかないぜ。押仕入れの中で反省してもらわないとおいらの怒りがおさまねぇ。そういやおいらの車の修理が終わったってレイノから連絡あ>>続きを読む
数あるカウリスマキ作品の中でもNo1にあげる人が多い本作。非常にわかりやすいハッピーエンドが、日本人の情緒にぴったり合いやすい作品なのかもしれない。歴史あるレストランで給仕長を勤めるイロナを、同監督の>>続きを読む
アキ・カウリスマキとジム・ジャームッシュの仲がいいことは業界では有名な話らしいのです。オフ・ビート感覚が一つの売りになっている2人共通の作風だけに、オマージュのようなことをお互いやりあっているのでは、>>続きを読む