イシダコさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

イシダコ

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ゴーストライター(2010年製作の映画)

3.5

怖い。ポランスキーが描く、突発的に降りかかる災難には何とも言い表せない実在感のようなものが備わっていて、マンソン事件を体験した当事者でしか描けないであろう本物の薄気味悪さを感じさせる。マクベス夫人の要>>続きを読む

ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)

4.5

悪夢的で鮮烈なビジュアルとサウンドに陶酔。そこに時折挿入されるリンチ的なまともで理路整然としたギャグ(煽り運転のくだりやガラステーブル突撃の顛末が何度観ても爆笑)。べらぼうに面白い。本作の発展系が『マ>>続きを読む

オフィサー・アンド・スパイ(2019年製作の映画)

4.0

『ウエスト・サイド・ストーリー』以来の困惑案件。ポランスキーの演出力が高くて評価せざるを得ないんだけど、今回はとくにテーマがテーマだけにどうしても気後れもしてしまう。凡百の監督ならいかにもお涙頂戴に仕>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.5

連続殺人も警察の拷問も軍事独裁政権下でのデモも、すべてを独特のユーモアとペーソスで包み込む牧歌的なノスタルジア。ポン・ジュノが実践したのは、華城連続殺人事件を通して描いたひとつの時代まるごとへの郷愁に>>続きを読む

サイコ(1998年製作の映画)

4.0

ガス・版・サイコ断固支持。まず技術的な面でこの1998年のリメイクの方が1960年のオリジナルよりも優れているのは必然的。ヒッチコックがカットを割って見せていたオープニングをリメイクではワンカットで一>>続きを読む

ニューオーダー(2020年製作の映画)

2.0

期待ハズレ。ストーリーはほぼないに等しく、貧困層が富裕層に対して反乱するという単純すぎるコンセプトのみで押していく。描写のインパクトもそれほど強くない、こんなもんか…… な範疇。地獄を見せたいなら、も>>続きを読む

サイコ(1960年製作の映画)

3.5

本当はおとなしくしていたいのに、入れかわり立ちかわり人がやってくるから、仕方なしで場当たり的に殺人に取り掛かっていく。同じゲインをモチーフとしている部分があるからか、このへんのノーマン・ベイツの行動は>>続きを読む

アングスト/不安(1983年製作の映画)

4.0

期待ハズレの不発でイマイチな結果に終わってしまった初見からひさびさの再見。思いのほか楽しめて好きになれた。改めて観ると暗い青のトーンで統一された画面に冒頭から魅せられる。主人公の印象と特徴を決定づけて>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

1.0

トップガン オーソドックス。映画は不可逆的であるべきだと思っている身からすると、終始冷めた目線で見続けてしまうぐらいには王道すぎた。あと、マーヴェリックを癒すためだけに与えられているような、ほとんど生>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

3.5

劇伴使いのクドさやあざと気味な笑いの取り方など、気に障る部分もありはするものの、それでも『岬の兄妹』に比べたら格段に面白くて退屈することなく観れた。連続殺人鬼に絡めた行方不明者の捜索という一幕目から、>>続きを読む

TOMMASO/トマソ(2019年製作の映画)

4.0

最悪の夫婦倦怠モノ。確かにウマくいっていない関係性なのに、互いにそうでないように取り繕うとするから余計にタチが悪く状況も悪化する。どんどん溜まるフラストレーション、身に覚えがありすぎた…… 自身の恥部>>続きを読む

マッドボンバー(1972年製作の映画)

2.0

こちらは『サンフランシスコ連続殺人鬼』と真逆。良い評判を聞いていたがつまらない、見ぬうちが花な一本だった。映画がようやく終わったことの爽快感と相まって、ラストの爆散は笑った

サンフランシスコ連続殺人鬼(1969年製作の映画)

3.5

百聞は一見にしかず。クソつまらないと散々聞いてきたが、シリアルキラー映画としてかなり好きな部類だった。映画館に来ている客の中に、自分の隣や後ろに、そこに殺人鬼がいるかもしれない感覚を呼び覚まされるのは>>続きを読む

フラッシュダンス(1983年製作の映画)

1.0

話らしい話もなく、ほぼブツ切れ同然な細々としたしょーもないエピソード群の中で、中身も魅力もない薄っぺらいキャラクターたちがただただ右往左往しているだけの95分。80年代映画ド底辺

鮮血の女修道院/愛欲と情念の呪われた祭壇(1975年製作の映画)

3.0

悪魔の誘惑だけでなく聖なる信仰をも野蛮なるものとし、医療科学は無力なものとして描く。そしてアンチクライストとはやはりセックスが本質。悪魔が無敵の存在なので(それが真理だから仕方ない)、展開に捻りがなく>>続きを読む

スクリーム(2022年製作の映画)

3.5

展開も論理も強引でむちゃくちゃだし、あのキャラクターに至ってはもうちょい見せ方どうにかならんかったんか…… と思うところも少なくないけど(とこういうふうに書いていて、論理のそれに至っては言っても若い高>>続きを読む

プティ・カンカン(2014年製作の映画)

2.0

どこが「ツイン・ピークス」やねん、ざっくりしすぎだろ。205分完走した自分を褒めたい(正確には206分

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

1.5

スカすだけスカして全くキマっていない、ダサいボンクラを体現しているかのような失敗作。オタクの悪いところを抽出して出来上がった煮こごり

ワイルド・ブリット(1990年製作の映画)

3.0

夫婦の別れ話と爆弾解除、この二つをカットバックで交互に見せていく場面が秀逸すぎた。種類が違う別の緊張感を強引に単一のものとしてひと括りにまとめてしまう発想の突飛さにぶったまげる。どんなに大量の火薬を用>>続きを読む

死刑にいたる病(2022年製作の映画)

3.5

阿部サダヲをシリアルキラーに配役するという意外性も面白味も皆無なキャスティングに対して、殺人調査に没頭していく岡田健史がなかなかの好演。評価されるべきは、むしろそっちのように思えた(阿部サダヲは誉めら>>続きを読む

ジェイ&サイレント・ボブ リブートを阻止せよ!/ジェイ&サイレント・ボブ オタクたちの帰還(2019年製作の映画)

3.0

お世辞にも出来のいい映画だとは言えない。しかし90年代の『クラークス』から始まり、ついにここまでの“ステージ”にたどり着いたことになんだかんだで感慨深いものを覚える。そして公開から四半世紀を経て、まさ>>続きを読む

男たちの挽歌 4Kリマスター版(1986年製作の映画)

2.5

わるい意味での過剰。わりと好きだったはずなのに、ひさびさに観たらクドさしかなかった。ただ、クライマックスでマークに叱責されて思わず目をそらすレスリー・チャンの芝居は、瞬時にグワァッと胸を揺さぶってくる>>続きを読む

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

2.5

「ワンダヴィジョン」を履修済みかどうかに関わらず、本作単体の要素でも情報処理がスムーズに為されていない。サム・ライミ節は楽しいっちゃあ楽しいが、やっていることが本質的にこれまでと同じすぎて進歩はない。>>続きを読む

カモン カモン(2021年製作の映画)

2.0

作り手の意に反しているとは思うが、希望よりも絶望に近い感じのものを受け取ってしまった。『パリ13区』とはまたトーンが違う、沈んだ色調のモノクロ画面が憂鬱さに更なる追い打ちをかける。その最大の要因は度々>>続きを読む

チェイシング・エイミー(1997年製作の映画)

3.0

20年ぶりぐらいに再見。いま観るとかなりモヤモヤしてしまう蔑視表現が多くて、純粋に傑作だと思えなくなってしまった(字幕も“ホモ”や“レズ”の蔑称連発で、これは要新訳)。ただそうは言ってもメインとなるテ>>続きを読む

不都合な理想の夫婦(2020年製作の映画)

4.0

傑作。ショーン・ダーキン、やっぱりめちゃくちゃウマい。『ローズマリーの赤ちゃん』『エクソシスト』『シャイニング』 といったクラシックなホラーは現実的な精神疾患を超現実的に描いたものとしての見方をも可能>>続きを読む

悪魔の沼(1976年製作の映画)

3.5

狂った登場人物、狂った展開、そして狂った照明。トビー・フーパーにとって『悪魔のいけにえ』の次にあたる作品だけあって、過剰すぎる諸々からかなりの意気込みや気概が伝わってくる。『JAWS/ジョーズ』とは比>>続きを読む

無聲 The Silent Forest(2020年製作の映画)

2.0

期待ハズレ。実際の事件の重みに映画が負けている。その事件の概要を単純な足し算で順番に明かしていくのみで、とくだん映画らしいテクニックは見当たらず。これならドキュメンタリーとして扱った方が、よっぽど意義>>続きを読む

素粒子(2006年製作の映画)

3.0

面白さの大半が原作の功績に依るところが大きい。ハードな話ではあるものの、思いのほか映画自体のタッチがソフト。そこが多少の消化不良感に直結している。この監督のフィルモグラフィを見ると(シュリンゲンズィー>>続きを読む

キングダム II 第3章/第4章(1997年製作の映画)

4.0

話も編集もテキトーというか行き当たりばったりが過ぎて、シーズン2ともなるとその冗長さに擁護しがたいものも出てくる…… しかし、そんな次元の低い事柄はどうでもいい。トリアーによる一大巨編をついに観れたと>>続きを読む

キングダム(1994年製作の映画)

4.0

トリアーにとっての、ホテルを病院に置き換えた『シャイニング』であり、悪魔というよりも悪魔的なウド・キアを身籠もった『ローズマリーの赤ちゃん』であり、シュールな笑いは『ツイン・ピークス』を彷彿とさせ、さ>>続きを読む

パリ13区(2021年製作の映画)

3.0

4Kで鑑賞。セックス描写が思いのほかインパクト薄くて、わるくはないけど期待は正直下回った。この内容ならせいぜいR15+でよくない? オーディアールとシアマに足らないのはアクの強さで、いかにもこの二人ら>>続きを読む

ゾディアック(2006年製作の映画)

4.0

フィンチャーが実録殺人モノに挑んだのだから、そりゃ骨太になるに決まっている。尺の長さや情報量の多さが題材に適したちょうどいいもので、ほとんど快楽的と言っていい心地よい疲労感が味わえる。本当に見事なペー>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

3.0

幼い少女ばかりを狙った映画史最古の連続殺人鬼と、それを追いつめる警察・一般市民・そして暗黒街のギャングたち。1931年のドイツ映画から始まり現代まで脈々と受け継がれてきたこの設定は、つい最近も韓国で『>>続きを読む

エム・バタフライ(1993年製作の映画)

3.5

一見クローネンバーグらしからぬようでいて、その実極めてクローネンバーグ的な肉体と精神の変容というテーマがここでも扱われている。オリエンタリズムや捻くれた女性蔑視など危うい要素も見て取れるが、それは主人>>続きを読む

アンビュランス/地獄の殺人救急車 狙われた金髪の美女(1990年製作の映画)

1.5

えっ、期待ハズレがすぎる…… ラリー・コーエンだし評判もいいしで、未見なのに購入したブルレ。発売と同時ぐらいで即買ったわりには何年も積んであったのをようやく鑑賞したのだけど、展開がご都合主義極まりない>>続きを読む