うさどんさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

うさどん

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大空港2013(2013年製作の映画)

3.5

本日の巣ごもり鑑賞。
ワンシーン・ワンカットの前作『short cut』では3人だった登場人物が、今作では4倍の12人、それぞれに抱える悩み、バックグラウンドがきっちり描かれていて、かつ、ワンシーン・
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濁流(1934年製作の映画)

3.6

本日の巣ごもり鑑賞。
主演のロレッタ・ヤングが悪魔的な美しさで、7歳の一人息子を愛し育てるシングルマザーを演じる。
今では何ら問題無いが、1930年代のアメリカでは「15歳で妊娠・出産」「シングルマザ
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short cut(2011年製作の映画)

3.8

本日の巣ごもり鑑賞。
三谷幸喜脚本・監督の112分ワンシーン・ワンカットの画期的な長編ドラマ。
登場人物わずか3人の野外劇が、1キロ以上の山の中を移動しながら繰り広げられる。
突拍子のないストーリーで
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海辺の恋⼈(2023年製作の映画)

3.4

特に心に刺さる特別な出来事が起こるわけでなく、感動的なビジュアルがあるわけではないけれど、どこの誰にでもある普通の、人生や希望や目標に惑える二人の姿が、すぐそばで起きている感覚で描かれる。
演技的に上
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必死の逃亡者(1955年製作の映画)

3.4

本日の巣ごもり鑑賞。
原題『The Desperate Hours』、実話(ヒル事件・1952年)を元にした小説、舞台を映画化、ハンフリー・ボガートが狡猾で用心深い脱獄犯のリーダーを好演している。
1
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(2023年製作の映画)

3.7

重度障害者施設で実際に起きた事件をベースに、施設とそこで働く人々の中にそれぞれある狂気・曲解・無視・黙殺・反発が、各人の本音・建前が交錯する中で淡々と描かれ、やがて一つの結論?へと導かれていく。
それ
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探偵物語(1983年製作の映画)

3.7

本日の巣ごもり鑑賞。
ちょうど40年前の作品、薬師丸ひろ子19歳、松田優作34歳、二人とも若い。
松田優作のうまさはもちろん、当時アイドル歌手・役者だった薬師丸ひろ子も不自然ではない演技。
赤川次郎の
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

朝、掃き掃除の音を聞きながら目覚め、仕事に行き、風呂に入って夕食を食べ、本を読みながら眠る。
家でも、仕事先でも、街中でも、何が起きるでもなく、日々を繰り返しているが、実は決して同じ日はない。
無口な
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ワイルドシングス(1998年製作の映画)

3.1

本日の巣ごもり鑑賞。
ケヴィン・ベーコン、マット・ディロン、ビル、マーレィと、今となっては考え難い素晴らしいキャスティング。
加えて、作品自体も、青春ドラマ、サスペンス、法廷闘争と盛り沢山、加えて最後
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遥かなる山の呼び声(1980年製作の映画)

3.6

本日の巣ごもり鑑賞。
現在、日本経済新聞『私の履歴書』掲載中の倍賞千恵子さんに敬意を表して鑑賞。
山田洋次監督、高倉健、倍賞千恵子の周囲を、ハナ肇、杉山とく子、子役の吉岡秀隆の名優たちが固めて、やはり
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善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

3.9

本日の巣ごもり鑑賞。
東西冷戦下、ベルリンの壁崩壊目前の東独・東ベルリン。
腐敗と権力闘争、秘密警察シュタージと不穏分子の監視、拘束、弾圧がベルリン社会を覆う中、真っ正直なシュタージ大尉が、反体制を疑
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栗の森のものがたり(2019年製作の映画)

3.2

陰鬱さと諦めと閉塞感が溢れる忘れ去られたような国境の暗い村から人々が続々と抜け出している。
村から脱出できない村民は、年老いてやがて来る自らの死を待つのみ。
そんな村の片隅で、大切な人が村を去ってしま
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こいびとのみつけかた(2023年製作の映画)

3.1

好きな娘と友達になりたい望みが叶った瞬間に、「夢」から「守り切らなければならない現実」に変化、妄想も含め、心の中で気持ちがどんどん膨らんで奇異な行動もエスカレートしていく。
やがて訪れた悲しい事実を受
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人情紙風船(1937年製作の映画)

3.5

本日の巣ごもり鑑賞。
28歳で戦病死した山中貞雄監督の、作品として残っている三本の映画の一つで、監督の遺作。
江戸下町の貧乏長屋、そこに暮らす粋な悪党・髪結新三と愚直な浪人・海野又十郎それぞれの不遇な
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河内山宗俊(1936年製作の映画)

3.1

本日の巣ごもり鑑賞。
28歳で戦病死した山中貞雄監督の、作品として残っている三本の映画の一つ。
伝説の監督作品ではあるが、義賊・河内山宗俊が小料理屋兼賭場の女将のヒモとされ、庶民に寄せた設定となって、
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丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

3.4

本日の巣ごもり鑑賞。
28歳で戦病死した山中貞雄監督の、作品として残っている三本の映画の一つ。
百万両の黄金の隠し場所が塗り込められている「こけ猿の壺」を巡る時代劇が、コミカルに、けれど矛盾も誇張もバ
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ボルサリーノ(1970年製作の映画)

3.3

30代半ばのアラン・ドロン、最強。
完成された美しさだけでなく、神々しささえ漂っている。
最強の彼が、ディナージャケット、ダブルのスーツを着て、ボルサリーノを被ってマシンガンを銃をナイフを駆使されては
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市子(2023年製作の映画)

3.6

ささやかな幸せに手が届く、幸福感に浸る前に、まさに瓦解してしまう。
自分は今、いったい何なのか、誰なのか、自らも錯綜する中で周囲の人々は戸惑い、巻き込まれ途方に暮れる。
自分ではどうしようもない宿命を
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マルセル・マルソー 沈黙のアート(2022年製作の映画)

3.2

映画『沈黙のレジスタンス』が、対戦中のマルセル・マルソーを演じ、描いたのに対し、今作は主に大戦後のパントマイムに焦点を当てたドキュメンタリー。
マルセル・マルソー本人というより、彼の妻、娘、孫など、身
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私がやりました(2023年製作の映画)

3.9

【2023.12.10 サロンシネマ2で再度鑑賞】

【2023.12.8 サロンシネマ2で鑑賞】
冒頭から一気にフランソワ・オゾンの世界に引き込まれる。
真面目なコメディ、精緻なクライムミステリー、
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パトリシア・ハイスミスに恋して(2022年製作の映画)

3.2

『見知らぬ乗客』、『太陽がいっぱい』、『リプリー』、『キャロル』…気がつけば映像化されたものはかなり観ているけれど、著作(原作)は読んだことがないかもしれない不思議な作家。
このドキュメンタリーを観て
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旅立ちの時(1988年製作の映画)

3.1

本日の巣ごもり鑑賞。
爆破犯として逃亡を続ける両親とその二人の子供。
罪を重ねることは無いが、罪を償うことなく逃げ続ける両親のエゴに巻き込まれた子供と周囲の人々がかわいそう。
この子に才能が無かったら
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嘆きの天使(1930年製作の映画)

3.3

本日の巣ごもり鑑賞。
真面目、堅物で冴えない独身教師、イマヌエル・ラート教授が、街のキャバレーに巡業中の踊り子ローラ・ローラ:マレーネ・ディートリッヒにうつつを抜かす生徒を正しにキャバレー『嘆きの天使
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リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

2.7

本日の巣ごもり鑑賞。
田舎の狭い世界の、その片隅に住む14歳の(たぶん公立)中学生達が、吐口を求めて彷徨い非行に走り、退屈し、その慰め、理論的支え、共感としてある「リリイ・シュシュ」。
ある意味、それ
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愛を読むひと(2008年製作の映画)

3.4

本日の巣ごもり鑑賞。
偶然、原作(『朗読者』(新潮文庫))を買っていたので、2時間あまりで読んで、そのままDVDを鑑賞。
物語の急展開とその理由がわかった途端に、原作の持つ隠されたテーマが一気に迫って
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(2023年製作の映画)

3.6

北野武監督のバイオレンスもの、本能寺の変の新解釈に期待して鑑賞。
かなり個性的な多くの俳優たちを上手く組み合わせて話を作り上げていく手法は、いまだ健在でさすが。
2時間あまりの短時間で、複雑で多量の人
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翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~(2023年製作の映画)

3.2

第一作が好評の中迎えた第二作、やはりpart2の厳しさに沈んでしまった。
大阪風に言えば、「ボケとツッコミが浅い」感じ。
「大阪」のキャラが濃すぎて埼玉の個性では攻めきれていないうえに、見え隠れする大
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魔女の宅急便(1989年製作の映画)

3.2

本日の巣ごもり鑑賞。
西地中海やアドリア海を想像させる海と街並みの美しさと精緻さはさすが。
作品冒頭からジブリワールド、夢の世界に連れて行ってくれるけれど、個々のエピソードが浅く薄いのが残念。
パイの
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紳士協定(1947年製作の映画)

3.3

本日の巣ごもり鑑賞。
アメリカ社会に深く根付く反ユダヤ感情、ユダヤ人排斥の暗黙の了解=「紳士協定」の存在とそれへの対応について、鋭く世に問う作品。
世界大戦の際のホロコースト直後、イスラエルの独立宣言
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カラー・オブ・ハート(1998年製作の映画)

3.5

本日の巣ごもり鑑賞。
一見すると、1950年代の典型的アメリカン・ホームドラマ「Pleasantville」にハマっている冴えない男子の、タイムスリップ・ファンタジー・コメディの様相。
しかしそこには
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わたしたちの国立西洋美術館~奇跡のコレクションの舞台裏~(2023年製作の映画)

3.6

「松方コレクション」について知った時からより身近になった国立西洋美術館、おそらく日本最高の常設展示に魅了されて、訪れるたびにほぼ半日を過ごしている。
建物の世界遺産登録を機に行なわれた改装・休館中の美
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オーケストラの妻たち(1942年製作の映画)

3.3

本日の巣ごもり鑑賞。
真珠湾攻撃翌年の1942年制作のアメリカ映画、冒頭の一曲目は米軍の戦意高揚の歌詞、戦時の気配が全く描かれない余裕のミュージカル・ラブコメディ映画、と、同時期の日本公開は絶対に無理
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まなみ100%(2023年製作の映画)

3.4

20代の若い監督、これからの映画界、演劇界を担っていきそうな若い才能ある俳優たち、希望と期待が持てる作品。
10年間の淡いぼんやりとした、けれど確実な気持ちが正直に醸し出されていて、誰もがきっと部分的
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未完成交響楽(1933年製作の映画)

3.6

本日の巣ごもり鑑賞。
戦前の作品、フィクションにもかかわらず、シューベルトの楽曲が上手くストーリーに組み込まれながら展開していく。
『未完成交響曲』の誕生の背景はこうだったのか、と誤解してしまいそうに
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夜を楽しく(1959年製作の映画)

3.2

本日の巣ごもり鑑賞。
「固定電話」「電話回線の共同利用」と、70年くらい前の時代感たっぷりのラブ・コメディ。
衣装や車、オフィスや部屋の調度が1950年代アメリカを表しているが、この時代のキャリアウー
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オルランド(1992年製作の映画)

3.2

本日の巣ごもり鑑賞。
30年も前の映画とは思えない先進性と映像美。 衣装も素晴らしい。
一人生き続けることは、本来は相当な悲劇だと思うのだけれど、暗く描かれることなく、むしろ、次のターンの行方が気にな
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