zhenli13さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.8

自分がはじめて撮った8㎜映画を母と頬を並べて眺め、母を心から感動させるという、愛着形成期における最上級ジョイント・アテンション体験をふまえ、映画を撮る者の、ひいては芸術を求める者の業(ごう)を見せつけ>>続きを読む

残酷ドラゴン 血斗竜門の宿(1967年製作の映画)

4.2

蔡明亮『楽日』に映画内映画として登場する『龍門客桟』やっと観た。『楽日』ではかつて賑わったであろう映画館の巨大なスクリーンに『龍門客桟』が映されるが、館内はいまや客もまばらでハッテン場として利用されて>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.5

ベネデッタの聖痕が真実としての奇跡なのか謀りなのか、いずれにしても彼女は聖と俗の二項対立をものともせず「信仰」のもと理屈を超えた理屈を無理矢理成立させていく。
木を削って作られた聖母像と一体化したディ
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ドラブル(1974年製作の映画)

4.0

扉を開けて閉める→別の場の扉を開けて閉める というマッチカットの瞬間移動が何度も出てきて、移動してないようにも感じられて面白い。マイケル・ケインの住むメゾネットの内装やデルフィーヌ・セイリグの居る教会>>続きを読む

殺人者たち(1964年製作の映画)

4.1

リー・マーヴィン大好きなので期待していたら割と出番少なかった。というのも餡子となるジョン・カサヴェテスとアンディ・ディキンソンの成り行きの回想シーンが長くてまたも寝落ち!スクリーンプロセスの運転シーン>>続きを読む

真昼の死闘(1970年製作の映画)

4.0

柳の下のドジョウ的な邦題をあっさり裏切り、原題にもあるラバに乗った「シスター・サラ」のシャーリー・マクレーンとクリント・イーストウッドの飄然とした掛け合いが奇妙に魅力的な作品だった。シャーリー・マクレ>>続きを読む

僕らのミライへ逆回転(2008年製作の映画)

3.8

2018.6.11
仕事の資料として『僕らのミライへ逆回転』を観返してた。『ドライビングmissデイジー』パロディ(というか「スウェーデン版」という名のパクリ)撮影シーンや、ブラックフェイスでファッツ
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みんなのアムステルダム国立美術館へ(2014年製作の映画)

3.7

2014.12.23 @ユーロスペース
改修工事が揉めまくり館長も次々交代し、10年ものあいだ休館を余儀なくされたアムステルダム国立美術館のドキュメンタリー。私は00年代初頭に当館を訪れたことがあっ
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戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)

4.6

私のプロフィール画像はオデッサの階段の例のショットを鉛筆で模写したものなのだけど、『戦艦ポチョムキン』自体に思い入れがあったわけではなくたまたま手元にあった雑誌か書籍かのスチールに惹かれて描いたのだっ>>続きを読む

恋多き女(1956年製作の映画)

3.8

オープニングタイトル画からテクニカラーの鮮やかさを予見させるわくわくがあり、イングリッド・バーグマンのファーストショットでのほとんど顔芸ともいえる困惑の表情から一気にテンポよく展開していく。
この室内
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街の野獣(1950年製作の映画)

4.3

照明がめちゃくちゃかっこよくてどこを切りとっても惚れぼれする。これぞノワールというかっこよさ。下からの反射光で浮き上がらせるのとか、影の中にある顔のほんの一部だけうっすら明るくして瞳や汗の輝きを捉える>>続きを読む

東京の闇(1982年製作の映画)

3.4

荒目の布地に墨文字のオープニングタイトルとエンディングが明らかに小津監督。そこからモノクロの旭日旗が出てきて箏曲が流れるこっぱずかしさ。作家の男が日本間に浴衣でタイプライターを打つ構図も明らかに『東京>>続きを読む

いちごブロンド(1941年製作の映画)

3.9

前から観たかったやつ。「いちごブロンド」て可愛いタイトルだなぁと思ってたけど一般的な言葉なんだろうか。しかし、いちごブロンドと呼ばれ男たちが憧れるヴァージニアを演ずるリタ・ヘイワースが主役ではなかった>>続きを読む

人生は四十二から(1935年製作の映画)

4.1

チャールズ・ロートンが最高すぎるチャールズ・ロートン映画。彼の「執事しぐさ」の顔芸・身体芸が極まっている。アップで彼の瞳に光が点っていてなんだかいとおしく、レッドギャップの人たちじゃなくても応援したく>>続きを読む

浜辺の女(1946年製作の映画)

3.6

なんだか奇妙な不思議な映画だ。ジョーン・ベネットはフリッツ・ラング『緋色の街』でも肖像画になる役だったな。丸っこい目と唇にムスッとした表情が魅力的なのだ。本作では悪役ではないもののファム・ファタル的な>>続きを読む

魅せられて(1949年製作の映画)

4.0

『輪舞』『忘れじの面影』『快楽』を観た印象でのマックス・オフュルスの様式美的な構成からすると序盤はテンポ感の薄いロマンチックコメディという印象だったのが、どんどんぐいぐい引き込んでいく。ここでも流麗に>>続きを読む

第十一号監房の暴動(1954年製作の映画)

4.3

すげえ…ドン・シーゲルって社会派だったんだな。囚人たちが暴動を起こすんだけど、脱獄するわけじゃない。精神障害を伴う重犯罪の累犯でほとんどの者が社会に戻ってもやっていけない。刑務所の改修や職業訓練など至>>続きを読む

燃える平原児(1960年製作の映画)

4.2

「アメリカの夜」が多用される画面。エルヴィス・プレスリーがギター弾きながら歌うシーンの彼の暮らす家の食卓を真ん中にしてシンメトリーとなる構図、前半の舞台の多くがこの家の中で、白人と結婚したインディアン>>続きを読む

快楽(1952年製作の映画)

4.3

おおお。これはすごい。カメラの流れるような動線にある群像の蠢きに最初のダンスホールのシークエンスから見惚れた。建物外や窓や柵ごしからの長回し移動ショット、木漏れ日に溢れる田舎道を走る娼婦たちを乗せた馬>>続きを読む

忘れじの面影(1948年製作の映画)

3.9

ジョーン・フォンテインの硬さがなんとなくメラニー・ロランを思い出させる。その硬さゆえにクズ男の虜となってようやく彼の眼中に入ることになると、ああ…と哀れになる。
クズなピアニストは健忘症ではないかとい
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ジュデックス(1916年製作の映画)

4.2

面白かった!なるほどーと思いながら。フランジュ版は江戸川乱歩だなと思ったけど、オリジナルの本作は愁嘆場たっぷり因果応報ものの歌舞伎を観てるような感じだった。さすが5時間半の連続活劇だけあり、フランジュ>>続きを読む

泣き濡れた春の女よ(1933年製作の映画)

4.1

久しぶりの清水宏。本作が清水初のトーキー作品とのこと。サイレント作品の『港の日本娘』の方が本作の後に公開されている。『日本娘』の方が色々ぶっとんでいるが、北海道ロケの本作は脚本の詰めの甘さ云々よりもい>>続きを読む

幸福の設計(1946年製作の映画)

4.0

速い!喋りが速いしほとんど小走り。時々俯瞰のロングで町のようすを入れながら人々がチャカチャカさっさか流れていくショット見てるだけでうきうきする。みんな仕事はいいかげんなのがまたいいよなー。
そしてサス
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幕間(1924年製作の映画)

3.4

以前に資料として観てたのを思い出した。大砲を真ん中に、サティとピカビアがスローモーションで左右から飛び込んでくるのが叙情的だなと思う。天使みたい。多重露光やコマ撮りなどトリック撮影的な効果を使って遊ん>>続きを読む

ドクター・ブル(1933年製作の映画)

4.5

最高。ウィル・ロジャースよ…
「通信」と「守秘義務」がこの映画に通底してる。
狭い町の電話交換手がつなぐ電話が、そこ此処で重要な役割を果たす。ウィル・ロジャースのブル医師は「20年間毎晩起こされてきた
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輪舞(1950年製作の映画)

4.1

構成と作り込みが完璧なコンセプトアルバムみたいな作品。ウェス・アンダーソンあたりも影響受けてそう。

狂言回しによるメタ構造を示す冒頭の長回しとセットが素晴らしい。シークエンスごとに場所が違うのでほと
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黄色いリボン(1949年製作の映画)

4.1

やっと観た。
中盤までほとんど一方向の移動で、ジョン・ウェインの退役間際になってからのめくるめく展開でラストに向け急に盛り上がる。そこに老兵ウェインの智慧が存分に発揮されてて泣く。 まだ実年齢40代な
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熱狂 ドンバス交響楽(1931年製作の映画)

3.4

ドンバスといえばのこちら。勢いで観た。スターリン五ヶ年計画の記録映画で翼賛的な内容。ジガ・ヴェルトフ初のトーキーにして世界初の同時録音とのこと。ところどころロシア語のスローガン的なものやスピーチなどが>>続きを読む

ドンバス(2018年製作の映画)

3.9

2023年初鑑賞は初セルゲイ・ロズニツァ。前情報をほとんど入れておらず、ドキュメンタリーと思っていたらフィクションで驚いた。2014年からウクライナ東部ドンバス地方で起こっていることとの境界が限りなく>>続きを読む

(1951年製作の映画)

4.8

ハリエットがジョン大尉と凧を揚げるシーンから不意に涙が出てきた。
凧は高く頼りなく空へ上がり、豆つぶになり、高い木にひっかかる。ただただ風に揺れる樹々を見上げるショット。
ラストでは号泣していた。
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ジュデックス(1963年製作の映画)

4.2

面白かったー。いい映画館納めになった!

ルイ・フイヤード版は未見。アイリスや中間字幕、探偵が読む「ファントマ」、そしてラストの献辞など、フイヤード作品とその時代への敬意はフイヤード版を知らない者にも
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殺人者にスポットライト(1961年製作の映画)

3.7

大富豪の伯爵が危篤状態で屋敷の姿見が隠し扉&マジックミラーになった小部屋に身を隠すオープニング。伯爵は今際の際にマルタ騎士団の正装となりものものしく鏡の奥へ隠れていくのに対し、遺産相続を待つ親族の一人>>続きを読む

女はコワイです/恋する男(1962年製作の映画)

3.6

本作でも過剰な効果音を随所に入れているのだけど、フェティッシュで繊細な効果音が忘れられないくらい魅力的なジャック・タチ作品に対し、ピエール・エテのそれは意図的に過剰で、不快ですらある。もしかしてエテは>>続きを読む

破局(1961年製作の映画)

3.5

『ヨーヨー』でもみられた誇張した擬音と、手紙を書こうとするが書けないプロセスを、大衆喜劇で培われたであろうアクションの連続で破壊的なラストへ導く。
もう少し引いたショットで見せてくれればなぁというとこ
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大恋愛(1969年製作の映画)

3.5

親付き婿養子の結婚そのものに後悔しながらも現実を振り切ることのできないミドルエイジ・クライシスで文字通り妄想に走り、ベッドが田舎道を走る。そのシーンはよかった。鬱々としていてちょっと長いなと感じた。ト>>続きを読む

幸福な結婚記念日(1962年製作の映画)

3.8

『トラフィック』はこの作品から想を得たのではないかとすら思わせるが、ジャック・タチは渋滞と車社会における人間観察と車群像のアクロバティックな処遇が大変攻撃的で、ピエール・エテは渋滞と車社会から生まれる>>続きを読む