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機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096のodamakinyanのレビュー・感想・評価

4.9
これで三回目ぐらいの視聴になると思います。アマプラで再度鑑賞しました。政治話がよくわからなかったのがその理由で、今回見ても細部までは理解できなかったですが、バナージのビスト家とリディのマーセナス家、連邦政府の間の駆け引きというか癒着みたいな関係についてはおぼろげながら理解できたようです。そしてそれらに対して、ジオン公国とまたシャアが率いていたネオジオンと、5つ巴の複雑なあらすじです。非常によく考えられていると思います。

作画は常に美しくてトップクラスだと思いますし、メカ作画は特にすごかったです。キャラが全員わりと型にはまったような美形なのですが、しかし人間味のある表情を見せたり動作をするので引き込まれます。ギリシャ的な理想的人体によるアニメという感じです。従ってそういうものが嫌いな人は見ていて退屈に思えてしまうでしょう。話の内容も非常にシリアスで、名セリフみたいなセリフが毎回必ず出てきます。それも遊びが足らないという人には退屈かもしれません。しかし私にはすごく面白かったです。胸を打たれる場面がとてもたくさんありました。何度見てもいいと思います。

ラプラスの箱はニュータイプと呼ばれる集団が現れた場合、政治の世界に参画させるという約束の条文だったのですが、この作品が作られた2010年のはじめ頃から、精神医療の現場も変わって来たように思います。それまで1990年代や2000年代の頃は奇異の目で見られることが多かったと思います。しかし本作の現れた頃から、メンタルクリニックはふつうの医療施設のような扱いになっていったと思います。もちろんそれとは関係ないよと言う人もいると思いますが、何か上の方でこのような政治的動きもあったのではないかと錯覚してしまう作品でした。思えば精神波の研究は昔から軍事利用目的で研究が続けられてきました。ガンダムシリーズはそのような現実の話から、SF作品として作られてきたシリーズですが、本作はそれと日常生活もリンクしているような気がした作品でした。すぐれた作品は現実世界に影響を与えますが、本作はその可能性があった作品ではないかと思います。
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