津軽系こけし

妄想代理人の津軽系こけしのレビュー・感想・評価

妄想代理人(2004年製作のアニメ)
4.9
虚構に酔っ払って


2024年に少年バットがいるならば、どんな手のつけられない怪物になっていることか。

少年バットは誰しもの心中にいる絶望の虚構

いっそ楽になれればという破滅願望の象徴

自殺大国日本の特級呪霊

彼を身近に感じながら試聴できたということは、超ストレス社会の現代日本を、あの黒い濁流に飲まれる街に、少なからず重ねていることを意味する。

不景気だからか、災害のせいか、人が死ぬせいか。

日本人は虚構に生きる民族だ。アメリカに負けたことで、先天的な巨大とフィジカルには勝てないと悟った故に、それらを虚構に求めたと私は考えている。その虚構主義がコンテンツ大国たる今の日本を作った。

だからこそ我らは虚構に溺れ、破滅のさなかに飛び込んでしまう。少年バットは、現実を見まいとする虚構主義者日本人の生みだした地獄の使者。
自分らに都合の良いように虚構を操り、マロミのような都合のよい逃げ場にした我れらを罰する裁断者。

とんでもないアニメを見逃していたものだ。
津軽系こけし

津軽系こけし