あんへる

Phantom 〜Requiem for the Phantom〜のあんへるのレビュー・感想・評価

Phantom 〜Requiem for the Phantom〜(2009年製作のアニメ)
2.9
【2009年春・夏アニメ作品{全26話}】

原作はニトロプラスのアダルトゲーム。
また同社の10周年を記念して制作されたアニメでもある。

記憶を消され、マフィアの暗殺者として組織に取り込まれた青年が自由と愛を求め生き抜く姿を描くクライムアクション的な作品。

原作のゲームは商業作品としてはニトロプラス・虚淵玄の共に処女作にあたる。

個人的にはニトロ作品だと「鬼哭街」や「沙耶の唄」が好みだったかな。(決して人様にオススメはしないけど)←
ちなみに原作のPhantomは未プレイです。


とにかく悲しいお話ですね。
逃亡劇、愛憎劇といった暗いテーマ性の作品ではある。
終始シリアスで救いが用意されていない感じや厨二臭さは如何にもニトロっぽい。

ぶっ飛び気味の初期設定は古き良きエロゲらしさでもあるので、自分は特に気にはならなかったんだけど、終盤の展開は流石に強引過ぎる気がした。
そこで気持ちが一気に離れてしまった。

ガンアクションが見せ場の一つの作品でもあるんだろうが、その割りにバトルシーンがあっさりしててイマイチ迫力不足…。
流血描写もなんとなく甘い気がする。
別にお子様向けって訳じゃ無かろうし、この題材や作風ならもっとエグさを出した方がストーリー上説得力があったと思う。
時代的な作画の古めかしさも要因の一つとしてはあったと思うが、演出を工夫するなり、もう少しやり様があったのでは…?


中盤の玲二とキャルのパッケージや流れは今思えばあれは完全にレオンのオマージュだよね。
ここは良かったけど、それだけに終盤のキャルは謎だったな…。

正直、玲二をそこまで憎む理由が理解出来ないし、何より身体的な成長具合はツッコみ所が有り過ぎるだろ。
玲二もアインも全く変わっていないのに、キャルの周りだけ時空が歪んでんのかな?
てか完全に別人のネーチャンじゃんw
あれで玲二はよく一瞬でキャルだと認識できたな。


物語として決して質が悪いとは思わない、ただ展開の節々に粗や違和感が生じていて、それが無視できない。
あと2クールという尺は長すぎたのか、中盤以降は中弛みしてる感じが否めない。
部分的にメリハリが無く退屈に感じることが多かった。

個人的にハマることは無かったが、ただアニメとして独自の存在感はある作品だと思う。
その点、もう少しくらい世間に認知されててもいいのでは?とは感じた。
まあ確かにBLACK LAGOONやヨルムンガンド等の系統と並べると見劣りはするんだろうけどね。

ただ、玲二とアインの描かれ方は秀逸だと思う。
単純な恋愛描写だけで完結する関係性ではない所が良い。

『この世界が無限の地獄じゃないとしたら、それはあなたが生きてるからよ』

アインのこの台詞は実に味わい深い。


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[主題歌]

OP
(前期) KOKIA「KARMA」
(後期) ALI PROJECT「戦慄の子供たち」

ED
(前期) ALI PROJECT「地獄の門」
(後期) KOKIA「Transparent」

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