多くの淑女たちが集う「聖應女学院」。なんとそこへ、一人の少年が編入されることになった。名は宮小路瑞穂。祖父の遺言により男であるはずの彼が女学院に編入されることになってしまった。女の園である学び舎で生活を送るため、瑞穂は幼なじみの少女、御門まりやの手によって見事な女の子仕立て上げられてしまう。男であることがバレないかと気が気でない。教室へ案内され、クラスの生徒たちに紹介される瑞穂。女装がすぐバレるかと思いきや、逆に瑞穂のことを羨望の眼差しで見返してくるのだった。そして、寮の後輩たちとの挨拶を交わし、瑞穂「お姉さま」の複雑で波乱万丈な学院生活が始まった。果たして瑞穂は、これから無事に学院生活を過ごせるのか!?
瑞穂にとって、聖應女学院生活2日目となる朝がきた。多くの不安と疲れが残る瑞穂の前に、長い黒髪を持つ美少女が。彼女の名は十条紫苑。息を呑むほど 美しく、品格の良いその姿は、本物のお嬢様という雰囲気。そんな紫苑は、すでに瑞穂が男であることを見抜いていた。だが、紫苑は他の生徒には口外しないことを約束。そのおかげで瑞穂は女学院を過ごしやすくなった。違うクラスのまりやとは別に、隣の席に協力者がいるのは心強い瑞穂であった。しばらく後、学院内の噂話に聞き慣れない単語が含まれるようになった。その単語、「エルダー」。まりやや由佳里、そして奏もそのことで盛り上がっており、学院全体で何かが始まろうとしていた……。
噂する生徒たちが次々と口にする単語「エルダー」。それは、聖應女学院において生徒たちの手本となる最上級生のことを指すらしい。年に一度、選挙によって生徒から一名のみ選出され、エルダーとなった生徒は全校生徒から尊敬を込めて「お姉さま」と呼ばれるようになる。そのエルダー候補に瑞穂の名前が噂されはじめたのだ。とはいえ、エルダーになるためには得票数が全校生徒の75%も必要。学院に来て日が浅い瑞穂だったが、まりやが由佳里や奏たちとともにエルダー選挙の根回しを始めていた。そしてついに選挙結果発表の日。エルダー選挙の投票結果が告げられる。はたしてその結果は……!?
夜の学院寮で瑞穂とまりや、由佳里、奏の4人は怪談話をしていた。そのとき、奏はふと気付いたことがあった。学院寮内の生徒たちの部屋は南側にあるのに、瑞穂の部屋だけが北側にあった。まりやが言うには、瑞穂が女学院に編入したこと、その部屋を使うことは、彼の祖父の遺言だった。その次の日、奏が慌てた様子でやってきた。何でも、瑞穂の部屋は以前「開かずの部屋」と言われ、エルダーを慕う一人の少女が、瑞穂の部屋で悲しい死を遂げたらしい。それ以来「開かずの部屋」になったという。その話に訝しむ瑞穂だったが突然、瑞穂の部屋の家具が激しく揺れはじめる。一体、瑞穂の部屋で何が起ころうとしているのか……!?
学院寮の瑞穂の部屋に、幽霊の女の子・高島一子が突如現れた。今から22年前、生前慕っていたエルダーのお姉さまが瑞穂に似ているということで、瑞穂に思いきりなついてくる。最初は戸惑った瑞穂だが、ひとまず彼は自分の部屋でともに生活をすることになった。とはいえ瑞穂は、一子が慕うお姉さまそのものではない。しかもれっきとした男。そこで、一子との自己紹介を終えたまりやが彼女に対し、瑞穂が男であることを明かすも、だが、一子は感動して瑞穂にこう言った。「私をお嫁さんにしてください!」と。一子の願いは、あこがれのお姉さまのお嫁さんになること。もちろん女の子同士ではかなわぬ願いなのだが、お姉さまでなおかつ男でもある瑞穂は、一子の願いをかなえられる条件をもっていた。一方、幽霊が苦手な由佳里は、一子を怖がって近づけないでいた。
聖應女学院での生活にも慣れ、このまま何事もなく学院生活が続いていくのかと思いきや、また新たな問題が発生してしまう。季節は夏。夏といえばプール。プールといえば水着である。瑞穂はまりやの提案で、女の子の日を理由にプールの授業を見学することに。とはいえ、プールの授業は一度だけではないため、彼は繰り返し見学せざるを得なかった。そんな彼の様子が生徒会長の貴子の耳に入り「水泳の授業をさぼっている」と、瑞穂を問い詰める。しかし、居合わせたまりやとのやり取りで話は大きく逸れていく。過去の因縁により、対立関係にあるまりやと貴子。その2人が、今回の噂の発端である瑞穂そっちのけで口論となり水泳勝負をすることになってしまったのだ。
衣替えの季節となり、聖應女学院では生徒会による服装チェックが行われていた。そのとき、貴子は奏の頭のリボンを「ずいぶん大仰だ」として注意し、身に付けることを禁止した。そんな貴子の見解に対し反論しなかった瑞穂を見て、まりやは声を荒げる。意気消沈する奏に対し、奏を守るべく立ち上がるが、その手段はあるのか、と問う。瑞穂の疑問は紫苑からのアドバイスで、学院における「生徒会則・附則第三項」のことを聞く。そこには、生徒会への異議申し立てをする場合の手段が記述されていた。瑞穂は、今回の異議の件を改めて全生徒の前で述べるため、学院の講堂へと向かう。何が正しくて何が間違いなのかを悩み続けた瑞穂だが、今はひとつの結論に辿り着いていた。
陸上部に所属している由佳里は、先輩のまりやに負けず劣らずの努力家。今日も朝練に励む彼女に、瑞穂がタオルを差し出しながら声をかける。しかし、由佳里からの返事は元気のないものだった。その理由が、由佳里は最近タイムが伸び悩んでいると瑞穂たちは知る。由佳里は、短距離走向きなのだが、実際は長距離走で大会出場をめざしていた。それを聞いた瑞穂も、由佳里をいっそう心配するようになった。そんなある日、由佳里が瑞穂の部屋を訪ねてきて、彼に語りはじめる。さまざまな思いが頭をめぐり、さらに追い詰められていく由佳里。そんな彼女に対し、瑞穂がかけた言葉とは?
年に一度の学院祭を近くに控え、生徒会は毎年、学院祭での出し物は生徒たちの投票によって決められる。今年は瑞穂と貴子を主役にした芝居という声が圧倒的であった。瑞穂と貴子が共演する芝居は「ロミオとジュリエット」。稽古に備え、貴子は早速台本に目を通すが、キスシーンまであるというその内容になぜか相手役の瑞穂のことを意識してしまう貴子。一方、まりやは彼を避けるようになっていた。貴子や周りの生徒への気配りも怠ることのない瑞穂は、まさに「お姉さま」にふさわしい存在。昔は頼りなかった瑞穂の成長ぶりに対し、まりやは自身の心に寂しさを感じていたのだ。
学院祭が間近になった聖應女学院。出し物の準備は最後の段階へと進んでいた。瑞穂と貴子も同じく、芝居「ロミオとジュリエット」の練習を重ねていた。それを通じて、2人の距離は次第に近くなっていた。学院祭を明日に控え、まりやが瑞穂の最後の練習に付き合うと言ってきた。2人きりで練習を始めるが、キスシーンでまりやは瑞穂にドキドキしてしまう。そして、明けて学院祭当日、まりやは、なぜか瑞穂たちの芝居を見ることなく、避けるかのように自分の教室で受付をしていた。ふと立ち上がり講堂へと向かい、「ロミオとジュリエット」を見る。いちばん重要なシーンが訪れ、それを目撃したまりやは…。
まりやが珍しく風邪を引いた。瑞穂は彼女を心配するも、まりやは彼を避けるようにその場を離れてしまう。男として瑞穂を意識するあまりに彼を完全に拒絶するようになってしまっていた。生徒会主催のダンスパーティーが開かれるため、貴子は瑞穂にそのダンスパーティーにおける男性パートの役割を依頼。瑞穂は、恥ずかしい気持ちがあったもののエルダーとして誇りを持って引き受けることに。その一方で、まりやはついに風邪をこじらせ、学院を休むようになった。瑞穂は、彼女を見舞い、「もっと自分を大切に」とまりやを諭すのだった。
瑞穂が男であることが貴子にバレてしまう。貴子は、今まで女性と思っていて、なおかつ密かに敬愛と思いを寄せていた瑞穂が、男だと知ったことによる戸惑いを隠せなかった。瑞穂が男であることを隠し、生徒たちが知るのは「お姉さまが貴子の危機を救った」という功績のみ。貴子が彼を気遣っていたことの表れであった。瑞穂は貴子に自分の意思を、今までのけじめとしてダンスパーティーで男性パートを務め、その後学院を去るというものだった。生徒会長としての立場上、板挟みに苦しむ貴子。ダンスパーティー当日、瑞穂は奏や由佳里、そして一子たちとともに会場となる体育館へ向かう中、ひとりさまざまな思いを巡らせる瑞穂だった。
お~~ほほほほ!私はツンデレラ。美しく、賢く、それでいてエレガント。完全無欠の美少女ヒロインですのよ。でも……なぜか私、みすぼらしい家で納得のいかない立場にたたされているのです。義姉がこともあろうことにまりやさんだったり、設定が良くわからないのですが、とにかくここでいじめられているのは確かですわ。あのお化けの一子さんさえいなければこんなことには……まあ、いいですわ。仕方なく水汲みをしていると、知人である君枝さん……白雪姫が遊びに来たのです。白雪姫は私にもっと上を目指せといいますけど、そもそもそんな機会がないのです。現実はこうですから、正直あきらめていたのですが、都合の良いことに目の前には王子様が倒れているではありませんか。しかも私の理想の殿方。ときめいてしまいましたわ。でも、介抱しても結局はそこでお別れしてしまいましたけれど。その後も相変わらずな毎日。この屈辱はいつかは晴らしてみせますわ!