あんへる

ようこそ実力至上主義の教室へ 2nd Seasonのあんへるのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

【2022年夏アニメ作品{全13話}】

『私は寄生虫。ひとりで生きることの出来ない、弱い生き物なのだ。』

誇っていい、どんな形であれ綾小路という最強の依り代を得たお前が勝者だ、軽井沢。


取り敢えず引くほどダサいボカロ風の謎OPは置いといて、1期から5年を経て制作された2期ということで、正直一話目を観た段階ではこの作品の楽しみ方が全く思い出せなかった。
放送中、原作ファンから割とボロクソ気味に叩かれてたり、作画云々言われてる節もあったが、まぁそもそも自分は原作を知らんし、そこまで作画云々に重きを置くようなアニメでもないだろうなとは思っていたので、そこに関しては特別ノイズにはならなかったが。
とまあ、初っ端からイマイチ乗り切れない状態のままなんだかんだ観進めていった訳なんだが、いざ観終わってみると普通に面白かったという。

基本的に会話劇や頭脳戦が主体で比較的動きの少ない、絵面的に地味なアニメにはなるんだろうが、その分人物描写や演出が凝っていたり、ここぞの場面ではアクションシーンに全振り出来ていたりと、メリハリが効いていて見応えはあった。

メインビジュアルの通り、今期はDクラス対Cクラス(綾小路VS龍園)という構図がメインのストーリーだった訳だが、各々のキャラクターが良い仕事をしていた印象が強い。

基本的に何を考えているのかよくわからんキャラが多いのが、ある意味で本作の魅力になっている部分はあると思う。
その筆頭が主人公の綾小路なんだが、今期でも彼の人物像や謎を小出しにしつつも徐々に紐解かれていく構造が楽しかった。
特に12話でのキヨポンには痺れた、いや震えたね。

次に敵役であるドラゴンボーイ(龍園)なんだが、彼を一言でいうと“優れた噛ませ犬”って印象かな。
雰囲気はあるんだが、悪役と呼ぶには若干役不足気味であり、現に綾小路は相手が悪過ぎた。
ただそれでも主人公を引き立たせる噛ませ犬としては一流だった。すべての噛ませ犬たちのお手本となるような働きを見せてくれたし、すべての噛ませ犬たちは彼を見倣うべきである。

そして今期のキーマンである軽井沢、彼女の存在が何より大きかった。
というより、今期は彼女が本作のメインヒロインに至るためだけの物語だったのでは?と思うくらいに物語の中心に居た。
1期の段階ではヒロインどころか、印象としてはただクラスイチのイケメンと付き合ってるだけのモブギャルくらいの位置付けでしかなかったキャラが、2期になった途端いきなり堀北も櫛田も蹴落として気付けばヒロインポジどセンターに躍り出てきたもんだからそりゃあビビるわ。
徐々に綾小路への気持ちに気付き始め、変化に戸惑いつつも献身的に彼に協力していく健気な姿が途中から可憐に見えてきて仕方がなかった。
我ながら分かり易い性格してるよなーとか思いながらも、動き出した彼女の青春の感情に寄り添って、ラストには「答えは得た」「俺の信じたものは間違いではなかった」とか謎にアー◯ャーみたいな台詞を反芻しながら心の中で彼女にスタンディングオベーションを送っていた。(?)
まあ結果的に、綾小路は軽井沢をただ利用価値のある〈道具〉として、軽井沢は平田から綾小路へ依存する相手(寄生先)を乗り換えただけという、互いに欺瞞に満ちた関係の始まりでしかなかったのかもしれないが、それでも落としどころとしては満足だったし、何より今後の二人の関係に期待できるからよし。うん、かわいいぞ、軽井沢!
佐藤さんというモブのまま敗れ去っていった者の為にも、彼女にはどうか強いヒロインに成長していってほしい。

そーいえば、櫛田の件ってなんだったんだろうな。
散々引っ張ってきた割には拍子抜けが過ぎるというか、まあこれで終わりって訳でもないんだろうが。(伏線もあったし)
ただあの久保ユリカの表裏の人格の演じ分けはプロの怪演だと思う。

あとEDで一人だけ謎のグラビアポーズをとらされている伊吹さんが地味にツボでしたw(原作者のお気に入りキャラらしい)


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[主題歌]

OP
 ZAQ「Dance In The Game」

ED
 渕上舞「人芝居」

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