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さらざんまいのno6clubのレビュー・感想・評価

さらざんまい(2019年製作のアニメ)
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ついに幾原作品4つすべて見終わりました。幾原監督に出会えてよかったです。さらざんまい最高でした。いろいろ考察しがいがあるのですが、取り急ぎの感想として「自己犠牲なんてダセエ真似やめろ!」なんてセリフが幾原作品で聞けるなんて感慨深くてそこだけで泣いちゃった。ピンドラでは自己犠牲による愛を是とする話だし、ウテナに至っては自分を犠牲にしてもたった1人の女の子さえ変えることができなかった(変わってもいいのかなと思えた程度)のに…。本当にすごいと思います。

村瀬歩さん、ハイキューで山田陽さんと出会ってくれてありがとう…村瀬さんの演技ハイキューの日向しか見たことなかったんだけど、一稀すごくよかった!男の子の声、女の子の声を真似する男の子の声、完全に女の子の声、3つの演じ分けエグかったな…伝説や。内山昂輝さん、なにげにシンエヴァに出演してたり、平松作品にも出演してたり、なにかと親交がある人同士の作品にいるので意外でびっくりです。そして堀江瞬。お前ただのツイッタラーじゃなかったんだな…ごめんよ今までサイコ野郎とか言って…。

平成から令和になったまさにその時期にこのアニメが放送されたわけだけど、幾原監督、映画ピンドラのインタビューで「僕はどんなに時代が変わっても、その都度その時代の若い人たちの生きづらさを表現したいと思ってる」と仰っていて、それはもちろんさらざんまいでも一貫してると思う。親ガチャなんて言葉が今はあるけれど、生き方を選ぶことができない子供たちを描いてる。今時親の離婚や片親家庭なんてなにも珍しくないし、それでも大多数と違うってだけで輪の外にいるようなどうやってもそこには馴染めないって感覚がすごく分かる。「この世界は繋がりに溢れている。でもその繋がりは、さらっと消えてしまう。」これは現代のSNS上の繋がりにも言えるし、今だったらコロナ禍で物理的な人との繋がりも希薄になってきてることも言える。そういう外の繋がりや社会のコミュニティが弱くなってきているから、幾原監督はピンドラでフィーチャーした家族の繋がりを、同じではないけれどもう一度さらざんまいで新しく描いたのかなと思う。

アニメで演劇をやってみたいと幾原監督に影響を受けてカレカノを作った庵野監督、「アニメでやるには限度があるね」みたいに結論付けたけど、何年経っても幾原監督はそれをやるのもうすごくて笑ってしまう域にきた。カワウソイヤァとかもう正気じゃないでしょ。きっと最初はスタッフさんに止められたんだろうなあ。でも言うこと聞かなかったんだろうなあ。宮野真守・細谷佳正コンビを幾原監督がやるとは胸熱ですね。榎戸さん見てる????
「これからこれやります」テロップとか×海藻とか、いちいち小ネタが面白い。ユーモアを忘れない監督だ。

自己犠牲による愛を否定したさらざんまいという作品を経て、自己犠牲による愛を是としたピングドラムの再構築劇場版、本当にどうなるんだろう。7月の公開が楽しみすぎます。
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