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キャシアン・アンドーのカルピスのレビュー・感想・評価

キャシアン・アンドー(2022年製作のドラマ)
3.5
「スターウォーズ」史上最も暗い物語でありつつ、最もチャレンジで芯の通った物語でもある。

キャシアンが一応主人公ではあるが、本作は正直帝国が全銀河系を支配している暗黒時代を生きる人達全てが主人公に思えますね。
帝国に支配されてる市民側と帝国側どちらにもしっかりとフォーカスを当てて、魅力的なキャラクターが非常に多かったです。

今シーズンでは、一応ソウ・ゲレラの無政府主義を掲げている組織はいるが、まだまだ反乱軍と呼べるような組織は出来ず、やっと市民達がこの間違った社会に対して闘うべきである事を覚悟するまでを描いた話になってて、とてもゆっくりと丁寧に物語を描いている。

キャシアン含め一般市民が苦しめられる中、コルサントに住んでいる富裕層で議員でもあるジェネヴィーヴ・オーライリーさん演じるモン・モスマも常に運転手に監視されつつも、軍資金を作るために政治的泥水を飲まされる展開が良かったですね。
娘を代価に経る軍資金って所が、正義を貫くにはグレーゾーンに両足を突っ込まないと成り立たない世界を描いている。
このモスマの涙ぐましい努力が、その後のローグワンやエピソード4でのデス・スター攻略時の軍事力に繋がって行くのね〜と思うと、ご苦労様ですの一言。
まーまだまだ4年分の物語がありますから、これからもガンガン苦労が絶えない展開があるんだろうな〜と思います。
彼女に関しては、スターウォーズ版「ハウス・オブ・ドラゴン」のような政治的ドロドロな展開を期待しちゃいますね。

ステラン・スカルスガルドさん演じるルーセンも反乱のためなら手段を選ばない、ソウ・ゲレラに匹敵するグレーゾーンの人物で、正義を貫く人でありながら信用するには危険人物でした。
それぐらい全てに対して警戒心を強めていかないとこの先反乱軍を作るなんて無理であることを感じさせ、改めて「スターウォーズ」の世界が厳しい世界なのかを知らしめてくれましたね。

帝国側のデニース・ゴフさん演じるデドラ・ミーロも良かったですね。
帝国の男性社会の中で生き抜いて行く強い女性でありつつ、ちゃんと帝国的思想を持った敵として描いており、敵ながらカッコいい存在でした。
そんなデドラも兵士ではなく、結局は管理職の人間であるため、実際に反乱が起きた時の無力で、暴力に対して恐怖を感じる所も人間味があって良かったですね〜

あとはシリル・カーンやキノ・ロイ、B2なども良かった。
あと、今作は綺麗な女優が多かったのも良かった!
先に述べたジェネヴィーヴさんとデニースさん含め、ビックス役のアドリア・アルホナさん、ヴェル役フェイ・マーセイさん、シンタ役ヴァラダ・セィスーなど皆さん美しくもカッコいい役でした。
個人的にはヴァラダさんが好きでした。
寡黙な女性戦士って感じですね。

今作は全体的に派手さはないし、話の進みもスローで暗めな作品ではあるが、「スターウォーズ」にこうゆう硬派なポリティカルサスペンスが描かれたのは本当に良かったし、まるで「機動戦士ガンダム」の一年戦争になる前の大人向けな話を「スターウォーズ」版でやっと観れてる嬉しさがありました。

「生まれ変われたら 私は早く目を覚まして戦う 
このクソどもと! 戦い直すんだ!帝国と戦え!」
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