このレビューはネタバレを含みます
郊外の一軒家で暮らす如月夏奈。過去に起きたある事件がきっかけで男性恐怖症となるが、洋菓子店で同じ誕生日の亮と偶然知り合い、優しい性格に惹かれて恋に落ちる。結婚の約束をして同居も始めた頃、亮は次第に暴力的な本性を顕にして、夏奈へのDVを行うようになった。亮による性的虐待が行われた夜、耐えきれなくなった夏奈は、亮の首を絞めて殺害してしまう。物置にあったアイス用の冷凍庫へ亮の死体を隠し、清々しい気持ちのまま朝を迎えた夏奈。しかし、夏奈の前に現れたのは、昨晩殺したはずの亮だった……。
テレビ東京の深夜ドラマ。朝ドラでヒロインを演じた本仮屋ユイカと、モデル出身のイケメン俳優白州迅がメインキャストを務めた。地上波の深夜帯でありながらも、カニバリズム描写や複雑なストーリー展開など、かなり攻めた表現に挑戦していた点に好感が持てる。
ただ、やはり物語としての重厚感に欠ける点は否めない。それは、元刑事の探偵阿久津や、半グレのボス唐沢など、魅力ある脇役達を活かしきれていない事、人物の相関関係における細かい部分のディテールが詰めきれていないと見られる事が大きな要因と考えられる。また、せっかく地上波ではかなり厳しいカニバリズム描写へ挑戦したのだから、血だらけになりながら死体を解体する夏奈の姿だけでも映した方が、夏奈の抱える狂気をさらに印象づけられたのにと、思った。
その他、唐沢があっけなく死に過ぎという点と、死体を下に隠したのであれば、臭いが……などツッコミ所が多すぎる点も目についた。しかし上記を踏まえて見ても、地上波ドラマにおける表現のギリギリに挑んだ点は評価されてもいいと思う。
