ジェイコブ

しもべえのジェイコブのネタバレレビュー・内容・結末

しもべえ(2022年製作のドラマ)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

自堕落な生活を送っている今時の女子高生ユリナがある日、「しもべえ」というアプリをダウンロードすると、謎のオジサンしもべえが自分が困っているときにどこからともなく現れては助けてくれるようになる。そんな中、自分のクラスに幼い頃に離れ離れになった幼馴染み辰馬が転校してくる。再会を喜ぶユリナだったが、辰馬は素っ気なく、知らないふりをされてしまう。ショックを受けるユリナのもとに、担任から自身の成績が悪いために留年の危機が迫っている事を知らされる……。
村田ひろゆき原作のNHKナイトドラマ。謎のオジサンしもべえを演じたのは、名脇役として名高い安田顕。一切喋らず、表情と動きだけで役を演じた事でも話題となった。そんなしもべえも、ラストに一言だけ話すのだが、これまでのコメディアンぶりを見せられているだけあって、たった一言でも視聴者を引きつけたのは言うまでもない。
村田ひろゆきといえば工業哀歌バレーボーイズのように、ストーリーの前半をおバカたっぷりのコメディにして、後半のシリアス展開へのエッジのきかせ方が凄まじい事が知られているが、本作も同様の手法が使われているように思う。
本作のテーマは、キセキは誰にでも起こるものであり、それは自分で起こさなければならないこと。しもべえに頼りっぱなしで、困ってたら彼が何とかしてくれると思って他力本願になっていたユリナ。最終章でしもべえが自分の為に残り僅かな命を削って助けてくれていたことを知ると、彼に頼らず自分の身に降りかかるトラブルを解決し、受験も成功させようとする。しかし、自分ひとりではどうにも出来ない状況になった時、しもべえは最期の力を振り絞ってユリナのもとに現れて、彼女を助ける。ラストで消えゆくしもべえを前に、涙を流しながらこれまでの感謝を伝えるユリナの姿は、帰ってきたドラえもんののび太と重なるものがあった。
残念なのは、本作が放送された時期とオリンピックが重なってしまい、放送間隔が空いてしまったことだろう。それでも、金曜日の丁度いい時間に、丁度いいユルさな作品だったため、普通に楽しめた。