えぬ

だまされても夢心地のえぬのレビュー・感想・評価

だまされても夢心地(2021年製作のドラマ)
3.5
BS版を全話完走。元は30分番組なのを日本のテレビ局の事情に合わせて(?)45分程度に無理くり再編集されているので、毎日一話ずつだと毎回ものすごい中途半端なところでいきなり終わるのがだんだん苦痛になってしまったので、録りためて一気見しました。その方が変なところでのぶった切れ感がなくなり、前後の話がすんなり繋がりやすいので、ストレスなく楽しめる気がする。

お馴染みのベテラン俳優チェジョンウとパクチュングム以外のキャストが地味だったり残りの役者さんたち誰一人名前も知らない状態だったので、見続けられるか心配だったけど最後までそこそこ面白く見られた。

韓ドラで昔からよくある王道長編ホームドラマ。熟年再婚で両家の家族がわちゃわちゃに…というネタはKBSでは既に週末ドラマの方で取り扱ってしまった題材なので、また週末ドラマ枠でやるわけにもいかなくて、イルイルの方でやったのかな?KBS週末ドラマもごく普通のホームドラマでは、ちゃんと良質で真っ当な脚本で頑張っても今や視聴率が取れないように思うけど(この枠に限らず、韓ドラではドロドロマクチャンの方が視聴率が高いのが残念)、週末ドラマの枠の方でやってもおかしくないぐらいのいい内容ではなかったかな、と。熟年再婚夫婦を中心に、デキ婚、離婚夫婦、身内(?)婚、子連れ再婚(?)、中年夫婦の危機、学歴社会、夢を追い続けて現実を知る時が来たり、年が行ってからの就職の過酷さなど、いろんなネタがたっぷり盛り込まれてました。KBSには独特の良心があるというか、韓国人らしい深い人情物をハートウォーミングに作るのが伝統的にうまいと思います。

結婚となると日本以上に家同士の問題となるのが韓国なので、全く違うタイプの人たちが姻戚になるというのはドタバタで楽しく描きやすいのだろうと思うし「子供が5人」の演出家だったそうなので、どの人物のエピソードも「この人の話は全く興味持てないから飛ばそう」というような“捨てキャラ”もなく、物語の流れやセリフ内容なんかもちゃんと練られていたし、キャラクターもバラエティに富んでいて好感の持てる人も多く(最初はそうでなくてもだんだんといい方向に変わっていくので)、全員分楽しく見れた。

財閥とかハイパー異世界とかでもないごく普通の庶民の日常が舞台のドラマなのでメンバーに愛着持てない・共感できないと長編物はとても見続けられないけど、それぞれのキャラがしっかりと丁寧に描かれ、役者さんたちもキャラに合っていて適切に上手に演じていたと思う。普通の市井の人たちの話なので、誰もが知るような人気俳優ほどの華とかカリスマまでは必要とはされないわけで、物足りないかと思いきや却って違和感なく見られて良かったような?というのも脇の脇まで(端の端まで?)しっかり丁寧にキャスティングしていったのがよくわかるし、韓国では超人気・有名でなくても演技上手な役者がいっぱい控えているからかも。一見地味なオバさんぽい脚本家の人も良い味が出てたり、一人で何役?!なオジさん俳優も楽しくて良かったです。個人的には次男嫁で女優のオミニのキャラが憎めなくて好きだった。

ただちょっとした不満もなくはなく…。この手の長編ホームドラマでお馴染みの終盤に持って来がちなああいう山場は「こういうのはもういい加減ナシにしない…?」というぐらい飽き飽きなのと、“お約束”とはわかってるけど、大団円で終わらせるのに強引に全員ハッピー方向に持っていきすぎた感も…。最後の何話かは「この人(たち)はどうせこうなる」というのがすっかり見えているのに「ただそのまんま」に進むばかりで山が少なかったので、少し飽き気味になってしまった。

この手のホームドラマで物語の核となる重要な役どころである老年夫婦のうちチェジョンウはいつもながらにこういう役は感心するほどうまいし流石なのだけど、パクチュングムはこの手のキャラはイマイチ合わないというか最後まで魅力が弱く、どうも納得感が出なかったかな(いつもの業の深そうなイジワルでキツイ姑役が上手すぎるんでしょうね)。また、家族を思うあまり…なのはわからないでもないが、余計なことに口出ししすぎだったり、家族以外にまで強引なやり方をねじ込もうとするところなんかは好きになれなかった。ドラマなので結果オーライで終わってはいるけど、現実世界なら割とまずいことになるんでは?とかそれはイカンだろ…みたいなことが一度や二度ではなく、いちいちモヤっとしてしまった。ただパクチュングムが中心人物かと思いきやそうでもなくて、各メンバーがそれぞれのエピソードでしっかり主役を張るという位置づけで描かれていたので、パクチュングムの配分(&重要性)はそこまで多くなかった分、大きな不満にまではならなかったような。こういうあたりのバランスや切替が良かったから、最後まで飽きずに楽しめたのかな、と。

あと最初が「ここで見るのをやめちゃう人もいるんじゃ?」と思うくらい、ちょっと面白くない始まり方なのが…。毎日気軽に見る30分枠だし、長期戦だから脚本も最初から全力・本気出さない緩めなのだろうし、物語が本格的に走り出すとちゃんと面白くなってくるのに、あの微妙なカンジの滑り出しはもったいないと思った。それが物語の最後につながるようにはなっているのだけど、蛇足的というか大した内容ではないので、いっそなくても良かったような…?

ドラマとは全然関係ないことなのだけど、時節柄(?)か、パクチュングムが「シック、シック(食口)」と繰り返すのが、どうしても気になってしまった。

以下途中経過のメモ。

(BSで視聴中。どたばたホームドラマなんだろうけど、くだらないというか、ちょっと退屈。倍速で飛ばしながら毎日1話見るぐらいのペースの方が飽きないかも?父ジョンファ役のチェジョンウは今までのイメージ通りであっているけど、母親役パクジュングムの、どこまでも人が良くて情に厚く少女らしい可愛さとかいう設定が全然ピンと来なくて困っている。表面上は設定・脚本通りに演じてはいるんだろうけど、内面からその人柄がにじみ出るみたいなものが全く感じられないので、主役としての魅力・存在感がかなり弱い。執拗でねちっこい系のとことん意地悪な姑役が多かったので、今までのイメージが強烈過ぎるからかも?「パフューム」で演じた、いじわるさがなくしれっとしてるだけの我が道を突き進む奔放な自由人な母親役が一番魅力的に見えたかなあ?他の出演者も今まで見たことない人&存在感や魅力を感じない人ばかりなので、どうも引き付けられないし引き込まれる感じもしない。となると、どうしても話の面白さでグイグイ引っ張っていってもらえないとしんどくなりがちな気が。

近年KBSでふるわなくなったアットホームで温かな週末ドラマの代わりを求めてこのイルイルドラマに手を出してみたけど、イルイルドラマって過去の経験からも見ては期待外れどころではなかった→もう二度と見るのはやめようと決意…とか残念なことが多いので、こちらもあまり期待しないようにはしてます。)
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