えぬ

ダリとカムジャタン~真逆なフタリ~のえぬのレビュー・感想・評価

3.0
正直なところ、最初の2話ぐらいまでが一番面白かった。主役二人がとにかくかわいくて仕方なくて夢中になって見てた。でも序盤以降は韓国地上波のラブコメにありがちなサスペンスで結構ドロドロ、またしてもその裏にはエゴ全開なアタオカ野郎もいて…という展開が長々続くのが飽きがちだった。

せっかく美術館を舞台にアートを取り扱うなら、アートの持つ力で切り開いていく系とか、カムジャタン屋らしく料理の方面とか、全然違う二人が互いに影響し合って成長していく姿、プラス、KBSが得意な人情味ある深いエピソードをそれらに交えて、財政難で危機的状況の美術館を立て直していくというストーリーとして充実してくれた方が、心を動かされる完成度の高いロマコメになっただろうし、自分自身はるかに楽しめたと思う。個性爆発なアーティストがいて彼らの生み出す様々なアートがあれば、アート系のエピソードなんていくらでも作れただろうし、全編にわたっていろんな方面から「家族って何だろう?」というメッセージ性も持たせてあったし、心に沁みるセリフなんかも多くあっただけに、残念感が募るばかり。アートの扱いも途中からどんどん弱く(雑にも)なってしまったのも、やはり残念で。サスペンスの比重がちょっと多すぎたと思う。

肝心の主役二人のロマンスも、楽しめてないサスペンスの合間ではせっかくのオアシスなはずなのに、最後まで話を引っ張るためか、序盤のあの楽しさの勢いはすぐに止められてお預け状態にされてしまい、途中途中も少々出し惜しみぽかったし、主役二人の演技力がここぞというところでもう少しあれば…とか、脚本の弱さゆえの物足りなさも出てしまってもったいなかった。あと、二番手(三番手もいたような?)が魅力的なロマンス展開の方が盛り上がる気が。

キムミンジェは、声質自体が良く、発音も話し方もきれいでしっかり通るので、決めるべき場面でちゃんと決まって、主役としてのカリスマや存在感がしっかり出るようになったのが良かった。決め方や見せ方がぐっとうまくなった気がする。役者本人の人柄や知的な雰囲気のおかげか、野放図なだけの乱暴者にならないので不快感ゼロ、ただし真逆なふたりという感じはそこまでなくて、普通にお似合いだった。パクギュヨンはふんわりとした笑顔と目元がとにかくかわいくて見てる私がメロメロにされました。センス抜群なファッションも嫌味なくさらりと上品に着こなしていて、幸せな気分にしかならない。ファンボラの、ネクタイ姿のボーイッシュで、悪者とでも渡り合える度胸ある有能でかっこいい秘書役も良かった。抑えた演技をしても彼女の楽しい個性がにじみ出てくるところが好き。演技力抜群のファンヒも良い役だった(そろそろ主役級で見てみたい一人)。世間知らずで傲慢で嫌味になりがちなお嬢様…ではないヨヌも素直ないい子でチャーミングで好きでした。

OSTも優しくかわいめな曲多めで粒ぞろいだったけど、KBSはOSTの音質もかなりこだわるように思うので、きれいな響きのおかげでドロドロ展開でも相当救われた感じ(スマホ視聴ではなく、アンプ&スピーカー通してちゃんと聞くようにした)。キムイェジの月のクレーターとCHAIのイスジョンのGIFTがお気に入り。

これでストーリーがもう少し充実してればなあ、もったいないなあ…。

土地開発関連でいろんな政治家や財閥やその他の悪者がつるんで…という構図はお腹イッパイどころではないし、出生の秘密もそろそろもうやめ時な気がするんだけど…。
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