こころとからだ

月光変奏曲~君とつくる恋愛小説~のこころとからだのレビュー・感想・評価

5.0
出版社の編集者の主人公がイケメン人気作家と恋に落ちる胸キュン王道ラブストーリーと思いきや、異常なくらい編集者への愛が感じられる珍しいバランスを持った作品。

職業はただの飾りの設定ではなく、この作品の本質でもある。そこが現実の我々と同じラインであるため、より感情を共にでき、現実に生かせる学びを得ることもできる。

日本でも今や空前の漫画ブームで、ウェブ上はもちろん、マーケティングやPRとしても活用が加速し、編集者も増えている。ただ、そのなかに真の編集者がいるのか。数字とロジックだけで判断するのでは、編集者とは呼べない。

劇中でもよく我々は慈善事業じゃないという台詞があったが、マーケターと編集者は役割が違う。共に戦いながら、ぶつかりながら落とし所を見つけていかなければならない。

編集者は構成、校閲はもちろん、作家の魅力と利点を最大限に引き出し、どんなときも家族のように守ることが仕事だ。勝手に編集者なのにマーケターになっていないか、作家ではなく社内を見ていないか、このドラマを見てよく振り返ってみるといいだろう。

恋愛については、子どもを産んで、孫ができてという王道を描く半面、ユ編集長のように、結婚より仕事を選ぶという、新たな形もみせてくれる。また、家事は夫婦で分担してやるべきなど、今の時代にアップデートされた内容で、キャラクターそれぞれが輝いているのが気持ちいい。

唯一、ミアオ副編集長だけが、最後に落ちてしまい可哀想だった。ああやって道端で本を売っている人を中国で見かけたが、大してお金にならないうえ、大変だろうし、もう一回再起する姿を見たかった。

最後はハッピーエンドの大円団で、心から満足できた。もう、この先は気にならないレベルで描き切ってくれた。本当に終わるのが惜しいくらい面白い作品だった。