あまりにも辛辣なS1からイロとカネのセックスコメディに振り切って大いに笑えた。風光明媚なシチリアのロケーションが楽しいのに登場人物全員が「コイツとだけは来たくなかった」という状況にあるのがこのドラマの意地の悪さ。『アフター・ヤン』でも好投していたヘイリー・ルー・リチャードソンの飾り気のなさが視聴者の拠り所か。彼女のセリフがいい「私はただ楽しみたい。心が満たされてドキドキしていたい。SNSやマッチングアプリにはもうウンザリ。アプリやドラマのイッキ見も。私は自分の人生を生きたいってすごく思う」。
マイク・ホワイトは人物の交通整理も笑いのタイミングも抜群で、E5からはいよいよ筆がノッて“模倣の欲望”なる言葉が出てくる。今シーズンは女優が揃っていて、高級リゾートホテルの白人富裕層を乱れさせるイタリア人娼婦役シモーナ・タバスコがゴージャスでいい。オーブリー・プラザの受けの芝居にも悶絶させられた。
MVPはもちろんジェニファー・クーリッジで、終盤、恐ろしい場面でも笑わずにはいられない抜群のシーンスティラーぶり。放映時間には彼女演じるTanyaの名前がトレンドワードに急上昇していた。