ソラアユム

シー・ハルク:ザ・アトーニーのソラアユムのレビュー・感想・評価

4.0
題名:シー・ハルク:ザ・アトーニー
鑑賞日時:2023年1月5日
鑑賞方法:Disney+
評価:4.0(MAX5.0)

『どういうつもり?なんで最終回があんなマヌケな展開なるの?』
 

鑑賞期間:2022/8/20~2023/1/5
2023年2本目


≪良≫
 女性は常に怒りを抑えている。それゆえに今作の主人公であるジェニファーはハルクの力を突然手に入れたとしても、ブルース・バナーの様に暴走することはない、というロジックは大変秀逸だったと思う。MCU作品群が充実した今、常人が力を手に入れ、制御するまでの過程を懇切丁寧に描く必要はないだろう、というマーベルスタジオの余裕と予定調和な展開を避けようとする気概を感じる。

 超人専門の弁護士という切り口も大変新鮮だった。超人を弁護することで、彼らを相対化して見せるという試みはヒーロー飽和状態の今のMCUの世界に必要な処置だったと思う。超人的な力を法的に抑え込めているのかは甚だ疑問だが、今後も法を扱うドラマとしてソコヴィア協定が廃止された後のヒーロー社会の在り方については言及していって欲しい。

≪悪≫
 シー・ハルクとジェニファーの二面性を両立させていくという所が全くうまくいっていないのは非常に気になる。どちらか一方でも、何かしらの決着がつけば良かっのだが、弁護士としてもヒーローとしても微妙な活躍に終わってしまっているのが残念な所。

 昨年の超大作『スパイダーマン NWH』でもヴィランの更生を描いていたが、今作でもアボミネーションことブロンスキーの更生が描かれていて見事に成功しているように見えたのだが…なぜ最終話であんな展開に?ヴィランが自発的に更生していくMCU初のモデルケースになり得たのに雑な展開に消費させたのは唯々勿体ない。

≪まとめ≫
 第4の壁を破ったり、メタ的な発言をしたり、ドラマの世界を飛び越えたり、昨今のMCUに対する不満をぶちまけたり、身内ネタに走り過ぎつつも笑えたのだが、内容はもう少しといった所。しかし、不作が続いたMCUドラマシリーズの中では好きな方だった。


以上