浅野公喜

イカゲームの浅野公喜のレビュー・感想・評価

イカゲーム(2021年製作のドラマ)
3.8
言わずと知れた韓国産デスゲーム。主人公演じるイ・ジョンジェといえば2000年代前半の「イルマーレ」や「ラストプレゼント」のイメージが強く、リアルタイムではないもののちょっと懐かしい感じです。

「バトルロワイアル」「ライアーゲーム」「神さまの言うとおり」等デスゲーム系作品が多い日本ではそれらの影響が強い作品と言われていますが、今作の方がそれらより世界的にヒットしている現状を見ると、日本が得意としていた「(他の国由来の)既存のものをより発展させたもの作り」技術は今や韓国の方が勝っているのかもしれません。

メインとなるゲームは冒頭のだるまさんがころんだやガラスの板渡り辺りを除けば思ったより地味目で生き残れるかどうかは若干運で決まり、終盤はほぼ肉弾戦となるのはイメージと違っていたのですが、人間の命が関わったゲームなのに子供の遊びがテーマだからか色使いは明るくポップだったり、時にリコーダーを使ったコミカルなものやジャズスタンダード(Fly Me To The Moon)を使った対位法的選曲は印象的で、ゲームのフィールドに移動する際の迷路のような階段のセットは強烈なインパクト。

登場人物は善人側、悪人側と大きく分けることも出来ますが前者側でも妙にずる賢かったり、誰かを騙したりと極限状態故に露呈する人間らしさが描かれているのも好印象で、主人公を中年そして重要な脇役として線の細い老人にパキスタン出身の外国人労働者とする割り当て及びリアルな?キャスティングも邦画ではなかなか実現されない部分でしょうか。

第二話で一旦ゲームを離れ現実に戻る展開はこの手のジャンルにしては新鮮で、第六話の切ない人間ドラマも〇。後者に関しては最後の「銃声」が響く所はどんな風に描かれていたかこれから観る方はよく覚えておくと良いかもしれません。
浅野公喜

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