浅野公喜

池袋ウエストゲートパークの浅野公喜のレビュー・感想・評価

池袋ウエストゲートパーク(2000年製作のドラマ)
3.7
池袋を根城とするカラーギャングやその周りの人々を描いたTOKIOのトモヤ・ナガセやヨウスケ・クボヅカら主演の石田衣良原作で宮藤官九郎脚本、堤幸彦ら監督の青春サスペンスコメディ。

当時売れてる人&チョイ役含め今売れてる人達が数多く登場する今となっては超豪華キャスト。彼らが演じるキャラがどれも濃いうえに援助交際にドラッグ、不法滞在ネズミ講引きこもりに性同一性障害といった当時(そして現代でも通じる)社会問題も取り上げたストーリーに斬新でスタイリッシュなカメラワークに編集、今では放送が難しそうなバイオレンスや風俗店まで登場し(前者に関しては歯切れの良い編集もあって陰惨にならない)、余韻を残さないドライな作風は高い支持を受けるのも納得でこの時代ならではの勢いに溢れるもの。

しかし一部演技はやや一本調子気味なのが気になったりコメディ要素強めとはいえ母親が変に若作りしている男に媚びた感じが個人的には癪に触り、主人公は最後まで良くも悪くも変わらないせいかこれといった成長はあまり見出せず、終盤にはある人物の死や大切な人の正体が明かされるといった展開が有っても感情を揺さぶる事はそこまで無く、内容自体は思ったより響かなかったかもしれません。

それでも女性陣の細い釣り上がり眉にブルーのアイシャドウといったメイク、男性陣のTシャツ重ね着やダボダボB-boy系ストリートファッションや今となってはレトロなガラケーにインターネット、オタクの聖地化する前のサグい池袋と2000年代色濃厚な雰囲気は好奇心を刺激します。

エピソードでは性転換し覗き部屋のスカウトマンになったマコトの同級生が部屋の女性につきまとうストーカーを退治することで漢になる第5話、マサがコギャルを妊娠させるも責任を取る為資金集めに奔走し「捨てられる立場」が逆転してしまう第8話が印象的でした。
浅野公喜

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