ソラアユム

ガンニバルのソラアユムのレビュー・感想・評価

ガンニバル(2022年製作のドラマ)
4.3
題名:ガンニバル
鑑賞日時:2023年2月1日
鑑賞方法:Disney+
評価:4.3(MAX5.0)

『全部知ってるぞ!あんたらは人を喰ってる!』
 

鑑賞期間:2023/1/6~2023/2/1
2023年7本目
原作未読

≪良≫
 狂気を以て狂気を制す。岡山県の山奥にある限界集落“供花村”に赴任してきた警官は、その土地で恐るべき光景と風習を目の当たりのすることになる。供花村という土地で圧倒的な権力を誇る“後藤家”、秘密をひた隠しにする村人たち、行方不明中の前任駐在員等、様々な狂気が渦巻く場所に来訪した柳楽優弥演じる駐在警官の阿川もまた、実は狂気に満ち満ちている。一筋縄ではいかない阿川の存在に対し、呆気に取られる後藤家や村人たちの「俺たちよりこいつの方がヤバくないか?」と言わんばかりの狼狽ぶりが大変面白い笑。事件の匂いに興奮し、一に話し合い、二に暴力を信条とする駐在員の狂気は柳楽優弥でなければ成立しなかっただろう。
 衣装やセット、カメラワークも見事だった。牧歌的な田園風景、薄気味悪い儀式と装束、集落での人間関係の煩わしさが同居する供花村の実在感は凄まじい(本当に実在はするそう)。そして、なんと言っても“あの人”と“仕切り板越しに正体を明かしたあの人”の造詣が大変良い。初登場シーンの衝撃は今でも忘れられない。

≪悪≫
 素晴らしい作品なことに疑いの余地はないのが、実は見せ方が勿体ないと感じる場面がかなり多い。衝撃的な事実を先に見せて、その証拠をなんとか掴もうとするという物語のフローに基本的には忠実なのだ。したがって衝撃的な事実のほとんどが物語の前半に集中していて、後半は証拠をどのようにして手に入れるか…という少し地味な展開になっている。後藤家の“秘密の場所”もサラっとみせていて、タメが無い。後に阿川がその場所を訪れて驚くのだが、視聴者からしてみれば、前もって知っている情報のため、登場人物と一緒に衝撃を受けることはない。「そうだよ、俺たちは人を食っている」という言葉で最後は締めくくられるのだが、「うん、そうだよね。知ってた。」としか言えない笑。

≪まとめ≫
 とにかく、ハイレベルの国産ヴィレッジスリラーが見れたことが大変嬉しい。どう締めくくるのか、S2に期待。


以上