えぬ

追撃者~逆局~のえぬのレビュー・感想・評価

追撃者~逆局~(2021年製作のドラマ)
-
(カネと権力はあるけど人格も倫理観もブッ壊れた権力者が法律無視で好きにやらかしては他人へ罪をおっかぶせ逃げおおすとか、そのせいで冤罪で監獄に入れられた弁護士がいるとか、捜査で残酷なシリアルキラーを追っていったら思わぬ巨悪的存在に…とか、韓ドラによくある設定や人物像とか、どっかで見たようなシーンなんかがたっぷり。お金もかけているようで刑務所のセットとか映画ばりにリアルですごいし、映像自体もなかなかきれいで迫力アリ。

だけど、序盤から話があまり面白くなく、中盤以降はすっかり飽きてしまった。CSではシーズン1とシーズン2合わせて全24話という形態での放映だったけど、どこまで見たら面白くなるんだろうと思いながら、頑張ってラスト2話残すところまで来たものの、見続ける気にならず以降放置。

このドラマ、犯罪物にあって当たり前のカタルシスというものが、あまりになさすぎる。

刑事たちが事件を追っていったらあれが判明してこんなこともわかって、次に別の場所でまた何かが起きて、で、ついぞその正体に近づいていきとか次第に悪を追い詰めて…みたいなじわじわ追い込んでく展開の方が個人的に好きなのは私自身確かにそうではあるんだけど、わりと早いうちから捜査の進行とか事件と一切関係なしに、いきなり悪徳権力者っぽい人が佇んでいる姿を大々的に画面に出してしまうとか、えーそんな方法でネタばれされても…とガッカリ。で、そこに至るまでも、はあそうですか…という感じでしかなく、全体的にピリッとしない。

また複数の事件が繋がっていて、一段落すると別の事件が起こり、その事件も最初の事件辺りと(いろんな形で?)繋がって…はいるのだけど、そこに連続性とか必然性とか統一性みたいな“これといった何か”が感じられない。いろいろ詰め込んでるけど、話を長く続けるためにただ無理やり寄せ集めてまとめて一つに繋ぎました…な、雑さばかりを感じてしまい、繋げ方に妙というものがない。話の進め方がイマイチに感じたり、話の面白さにつながってないどころか、変な行き当たりばったり感すら…。というわけで、こちらにもやはりカタルシスがない。

端正だけどギラギラさもある濃いルックスの男性揃いなのに、主要三人のキャラもあまり魅力的でない。これはもう、ほぼほぼ脚本と演出のせいと思うが、演技の方も…という感じはある。若い刑事役の男性、アクションなどはこなすけれど、表情のパターンが少なく演技の幅も狭く、見ていてどんどんしんどくなってくる。前半は彼が大いに動き回り、話を引っ張る場面が多いのだけど、こういう重要な役割ならもっと演技のうまい人でないと駄目でしょう。冤罪の弁護士の男性もぱっと見の出で立ちやルックスはかっこいいが、肝心の演技でカリスマ性や凄みが醸せないのか、プロファイリングで犯人像をあれもこれも当てまくりなところが変に出来すぎ(都合よすぎ?)で薄っぺらく感じてしまった。またベテラン刑事役の男性も存在感が弱いのか、包容力&頼りがいあるタフガイなチーム長という感じがあまりなくて、もっと前にグイグイ出てきてくれないといけないのに、画面からちょっと引っ込んでしまってる感じでそっけない。他の国の犯罪物ドラマで、人格的にも能力的にも優れ、これぞリーダーシップのお手本とばかりにどっしり構えて部下を力強く率いる魅力的なこの手の役柄をさんざん見てしまってるので、不足感ばかりが目についてしまう。

あと刑事ものなのに、おいおい警察がそれっていいのかよ…と疑問に感じる言動も少なくなく、こういうあたりもいちいち気になってしまう。

更には、序盤のシリアルキラーの事件の描写が目をそむけたくなるほど残酷すぎるのも閉口だった(韓ドラならこってりモザイクかかるところかと)。話題性とかセンセーショナルさを狙った演出にしても、こんなところに無駄に注力しすぎで、それほどリアルにやる必要性まであるのか大いに疑問。話がイマイチ面白くない面とずいぶんアンバランスに感じてしまった。)
えぬ

えぬ