もしも、もう一度同じ人生をやり直せるのなら、今度はちゃんと生きるのに…。誰もが必ず一度はしたことがあるだろう願いを本当に叶えてしまうコメディ。タイムリープものに付き物のご都合主義的な部分を笑いに転化させることで嫌味なく見せる手口が巧妙。場面設定が秀逸で、あの白い空間での死者と案内人との空とぼけたやり取りが実に可笑しい。演技者としてのバカリズムも実に味があって良い。そしてブラッシュアップすることによって変化していく人生が、得るものがある以上は失うものもある必然。それなのに最後はあらゆる人が満たされた大団円なのは流石に都合良すぎる気もする。先が読めなくて面白く感じた前半から、繰り返す設定に慣れてくる後半が飽き易く、少し割を食っている気もしないではない。とは言え自分のためでなく友人のために最後の一周を捧げるという展開が感動的。その心意気が主人公としての最後の人生を自ら祝福したのだろうとも思う。
