Masato

プラトニックのMasatoのレビュー・感想・評価

プラトニック(2023年製作のドラマ)
4.6

疎外感

ネイバーズ以来のニコラス・ストーラーとセス・ローゲン、ローズ・バーンの再タッグ!かつて親友だった二人が5年ぶりに再会し、羽目を外すプラトニックな関係を描いたコメディ。

精神衛生にいい映画、ドラマは?って聞かれたらこれを答える。そのくらい多幸感に溢れたドラマだった。

安定のセス・ローゲン。笑いはそのままに下品さはある程度抑えめでソニー製とは一味違うアップル製(プロダクションはソニー)ならではのお洒落なコメディ。二人のプラトニックな関係が巻き起こす様々なドラマと大人になりきれない大人の中年危機が笑えて泣けて良い。

凄く良いのは悪い人がいないということ。主要人物はみんな良い人で、だからといって単純ではなく人間臭い。それ故に自分自身や今の取り巻く状況をより良くしようと頑張ってる姿を見るのが心が洗われて泣けてくる。

やっぱりセス・ローゲンの何が良いかって気取らないところ。本作の主軸は年齢だけ重ねて20代のまま取り残されてしまったアラフォーの「負け犬」にある。周りの同年代は家庭のために、大人として気に食わなくてもある程度の我慢をしながら生きている。でもそれができないまま40代になってしまった二人。社会に出たところでうまく溶け込めずに疎外感だけが残る。だから二人は取り残された人同士ウマが合う。

お洒落で開放的なカリフォルニアという土地に相反して、一見順調な生活を送っているように見えていても、実際は社会から隔絶されていて孤独であるというのを見事表現しているのが良い。その孤独や疎外感を癒やしてくれるのがプラトニックな関係による二人の世界観。その心地よさを体感させてくれるのも良い。

七転八倒、なにをやっても上手くいかない。どうしても生きるのが上手じゃない。それでも足掻いて藻掻いて前を向こうとする。そんな傷つきながら前に進む不器用さには感動せざるを得ない。そしてそんな時間も最良な人生の一部になる。友人という存在の大切さを教えてくれる。

それこそセス・ローゲンが今体感してることなのかなと思った。常にティーンみたいなことをしてきた彼も40代なわけで今自分に相応しい振る舞い方や立つべきステージは変わり始めている。彼も疎外感があるのかもしれない。

どのキャラもめちゃくちゃ面白くて好きだけど、チャーリーが群を抜いていいヤツすぎて好き。

まあ、結局はいつもの野郎二人でいちゃつくブロマンスの相手が女性になっただけか。いつものか。だから最高だった。

これはプラスチックの造花だ。
何も変わらないってこと
Masato

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