Masato

テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく シーズン1のMasatoのレビュー・感想・評価

4.9

Appleオリジナル作品。アメフトのコーチがイギリスの落ち目のサッカーチームを監督することになるが、それがチームに思わぬ風を吹き込んでいくコメディドラマ。

なんで今まで見てこなかったんだろうと後悔するくらいに良いドラマだった。簡単に言えばアメリカ版ROOKIES。少年漫画みたいで日本人には馴染み深い物語。1話30分と見やすく、それでいて過不足ないドラマの掘り下げ、際立った個性的なキャラクターたち。ひとしきり笑ったあとにドバドバと涙が溢れてくる。この多幸感は僕の記憶のなかではフルハウスを見たときに近い。

この物語は勝つことに目標があるのではなく、自分が周りを動かすような善き人になることにゴールがあるとしているところが良い。陽気でお喋りな主人公がみんなの引っ込んだ気持ち、歪んだ心を引きずり出してきて変えさせる。それが非常にドラマティックで泣かせる。

自分の気持ちに正直になる。心が変わる瞬間を見ると自分は何故か涙が止まらなくなる。偽りのない心を見たような気になるからだ。映像だけでは見られない心の部分を丁寧に描いている。その徹底度合いが良い。心が変わったといって勝利に繋がるわけではない。そんな現実も突きつけながら、それ以上に得るものがあったと思わせてくれる物語。素晴らしすぎる。

特にオーナーのレベッカは群を抜いて素晴らしいキャラクターだった。サッカーというスポーツだけに関わらず、苦い過去を忘れて前を向こうとする人たちへの究極の賛歌。信じる心を肯定してくれる映画。
Masato

Masato