Masato

テッド・ラッソ 破天荒コーチがゆく シーズン2のMasatoのレビュー・感想・評価

4.5

毛色が変わったシーズン2。前シーズンがROOKIES的少年漫画なスポ根的な世界観だとしたら、今シーズンはシットコムタイプのコメディ寄りに。スポーツの物語を楽しむよりかは、前シーズンで築かれたキャラクターたちの個性を楽しむ作りになっている。最初はテイストの変化にやや困惑していたが、回を重ねるごとに慣れていって違った意味で好きになった。

それもそのはず、前シーズンでチームの不和や経営陣の陰謀などがスッキリ終わったので、こういうテイストになるのは必然。ただ、最終回付近の次シーズンへの繋がりは非常に少年漫画っぽくて、前シーズンの感じが戻りそう。ファイナル・シーズンがすごく楽しみになった。

今シーズンのテーマはメンタルヘルスだと思う。新キャラのドクターシャローンを軸としてメンタルヘルスについて語っていく。テッドラッソはお喋りな陽気なアメリカ人というステレオタイプっぽいキャラクターに見えるけど、今シーズンでそうではない深堀りがなされている。それはメンターのドクも同じく。ただの人格に留めず、なぜそのような人格になったのか、その根本的な部分まで探ろうとするところが素晴らしい。ただのコメディではない。

それと正直に人に打ち明けることの大切さというのをじっくりと描いていて、スポーツの皮を被ったコメディ、と思わせてメンタルヘルスのドラマだったという面白さもあった。精神衛生に良い。

ジェイミーもレベッカも豹変しすぎて面白い。見てて恥ずかしくなるほどに良い人になってる。奥深いのはテッドとネイト。テッドの過去を聞いてズシリ。こんな陽気なキャラにここまでのキャラクターに対する説得力を持たせるのは凄いというか、理解が増した現代だからこそできたことだとも思う。

ネイトは悔しくも共感できるような気がするキャラ。自尊心が低いのが根本の原因で、いつも自分を貶してるけど、それがルパートの悪魔の囁き?かなんかで他者に攻撃性が向いちゃうようになってる。自分も同じく自尊心がなくて自己否定ばっかりしてるけど、その自分へ突き刺しているナイフが一歩間違えると他者に向いてしまう怖さがネイトを通して見えた。
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