Masato

SHOGUN 将軍のMasatoのレビュー・感想・評価

SHOGUN 将軍(2024年製作のドラマ)
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ジャパンプレミアにて1,2話鑑賞

1980年にも放送されたジェームズ・クラベル原作のSHOGUNを再び映像化。真田広之が製作に携わり、徹底的に忠実な戦国時代と日本文化の描写を心がけた意欲作。

メディア先行レビュー時点で腐れトマトでは100%、メタスコアは84点とエミー賞やGG賞に引っかかりそうな勢いの本作。監督や脚本、プロデューサーなどに日系、日本人を積極的に起用しており、ホワイトウォッシュにならないよう配慮されている。

Successionやゲースロみたいな様々な思惑が飛び交うドラマ。太閤の五大老で窮地に立たされている孤独の吉井虎永(徳川家康)、対して三人の大老を味方につけている石堂(石田三成)。そこに異人であるジョンブラックゾーン(按針)が日本にやってくる。日本は先に来たポルトガル人のカトリック教徒と取引しており、そこにプロテスタントであるイギリス人の按針がやってくることで宗派間でも闘いが始まり、それぞれの利害のために駆け引きが始まる…

2話までだとまだ複雑な関係性を説くために説明的な部分も多くて動的な映像は少ないものの、段々と相関図が見えてくることでそのキャラの次に仕掛けてくる行動が気になってくる。そうした面白さは先述した2つのドラマみたいに存在しており面白かった。これから争いが始まるようなタイミングで第二話が終わったので、先が楽しみで仕方ない。

かつての日本文化をオリエンタリズムのような下に見るのではなく、ちゃんと敬意を持って描いていることが見ていて伝わる。宿命や武士道に通ずる滅びの美学を崇高な精神として描いている。がそれが美徳だけではないということもこれから描かれることに期待したい。

本作を見て一番に印象に残ったのが画作り。映像が時代劇とかそういうの関係なくドラマ全体としてみても凄い。ドラマとは思えないほど高品質。陰鬱さが漂う霧がかった暗さで、寒色がベースの幻想的かつドライな世界観の映像。照明をあまり使っていないような自然光に近い質感の映像や被写体ドアップの撮り方など、レヴェナントを彷彿とさせた。毎カット構図が美しくてうっとりする。

美術も安っぽさが何一つ存在しなくて、めちゃくちゃ気合と金がかかっている。あまり時代劇を見ないので細かな時代考証は分からないが、素人目だと日本人が作ったのと変わらない。VFXも含めてめちゃくちゃリッチな映像で、引きからの壮大な情景や町並みが最高。こんな戦国時代劇が見れてしまう嬉しさがこの上ない。

真田広之さんら日本人キャストなのでちゃんと理解できる日本語。今までの海外製作の映像作品では一番の忠実度ではないだろうか。映画・ドラマ史の一歩を進めたと思う。本作とゴーストオブツシマは最高にリスペクトフルな作品。
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