このレビューはネタバレを含みます
ついに……!ようやく……!何年も楽しみにしていたので、ようやく観られてすごく嬉しかった。勿体なくてなかなか観られなかった……笑
途中からどんどん原作と展開が変わっていって、ん……?こんなお話やったっけ……?となった。全体的によりドラマチックでエンタメ要素が強くなっていた気がする。
洋画あるあるだけど、やっぱりフランス人もドイツ人も英語を喋るのは気になっちゃった。仏・独語で作るのはだめやったんかな。そんな細かいニュアンスまで意思疎通がとれるもの?って何回も思った。原作でヴェルナーとマリーが出逢ったとき、たしかヴェルナーがたどたどしくフランス語を話していたのがすごく好きだったので尚更。
全編英語で、米軍=フランスに自由をもたらした正義!みたいな強調がされていたのも、ちょっときもちわるさを感じてしまったな。マリーに「でも米国人はブーツと食べ物とチャンスを与えてくれる」と言わせていたのとかも。米軍がフランスを解放したことや、フランスの民間人(やおそらく東部戦線のソ連軍)より米軍に降伏する方が安全だったのは事実なのだろうけど。うーん……
尺的に仕方ないのかもしれないけれど、フレデリックのオールカットは悲しかった……
「魂は同じままでいてね」「いつも同じ周波数で」すごくすごく好きだった。
ナポラで教官が何度もニーチェを引用しているのを見て、どんな美しいものもすべて自分を通して解釈されていることを忘れないで、という言葉を思い出した。ニーチェの輝かしい真実も、ナチスに利用されれば(ニーチェ自身の意図しないかたちで)暴力にすり変わってしまう。教授の言葉はたしかにそれ自体美しく真実であるけれど、その美しさに気づけるのは、きっとヴェルナーとマリーの心が「同じ周波数」にあるから。美しいのはふたりの心だよって、何度も思った。
そして「頭の中の周波数」を変えずにいられることはきっとあまりに難しい。変わらずにいたヴェルナーは強く美しいけれど、あの状況下で “変わってしまった” 人たちのこと、責めたくないし責められるわけがないな。実際の戦場では、きっと優しい人ほど壊れていってしまうから。
やっぱり原作で味わったあの感動は(日本語訳の美しさ含め)抽象的で曖昧な文字媒体だからこそ成り立つものなのかもしれない。でも、ドラマはドラマでとてもよかった。
星は素敵な映像化をありがとうございました、という気持ちを込めて。