綾

The OA パートⅡの綾のネタバレレビュー・内容・結末

The OA パートⅡ(2019年製作のドラマ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

S1よりさらに精神世界やSFっぽくなって面白かった〜〜!S1の静かで局所的な世界観も、一気に広がったS2も、どちらも好き。

OAを(信じたいけど)信じていいのか葛藤するアルフォンソにいちばん共感した。
そういえばS1では、なんでこの人たちはこんなにすんなり集まってとくに抵抗もなくOAの話を信じられたんやろう……ってうっすら引っかかっていたので、S2で語られた「一つの次元で起こることは他の次元にも影響を与える」を踏まえ、あのときあの5人が集まり信仰をもったことも納得できる(別の次元ですでに物語は始まっていたのだから)と思えてよかった。

そして、でもどの次元が〈始まり〉なのかはわからないし、かならずしも私たちが観てきた順番が正しいとはかぎらないとふと思って、すごくわくわくした。どこからが始まりなんやろう。そもそも始まりなんてあるんかな。すべては円のように原因でもあり結果でもあるのかな。


あと、この物語では〈OAの話=真実かつ事実〉だけど、真実=事実でない場合や、信仰が事実に基づいていない場合も当然あって。

あくまで信じ続けるスティーヴは純粋で美しいけれど(そしてその心を否定したくはないけれど)アルフォンソの言ったように、スティーヴが何もかも上手くいかない現実から逃げ出したかったのもまた事実。精神世界に傾倒していくなかで大切なのは地に足をつけることだなとあらためて思ったし、実際に精神疾患が原因で幻想を見る場合だってあるよなあって。

でも、だからこそ “それでも信じること” は尊いのだろうし、私たちが「精神疾患」という言葉でひと括りにしてしまうもののなかにも、本当はそっちの方が正しいってことがままあるのかもしれない……と、考えが尽きない。


S5くらいまで構想があったという話を見かけて、もしそれが本当なら!せめてシナリオブックとか!小説とかにして!共有してください!!!気になりすぎます!!!!!


そういえば霊媒師のお家でテレビに起こった怪奇現象は、S1でアンジーが作ってた動画のコラージュを思い出したし、気づいてないだけでそういう些細なリンクや伏線ってたくさんあるんだろうなあ。また観返したいけど、打ち切りってわかってて観返すのはちょっとしんどい…🥲

はあ、ここからが本番やのに…… 中途半端なところで打ち切ってしまうの、本当に海外ドラマの良くないところ……


そうそう、ハップのOAへの執着はノートルダムの鐘(劇団四季の方)のフロローと重なった。全然別物だけど、狂気なまでの(そう呼んでいいのなら)愛は、どこか通ずるものがある。一周回ってすごく切ない。
ハップがホーマーを撃ったときの構図は、保安官とその妻を撃ったときのそれとそっくりで、ああこの人はどの次元でも “愛する者同士を引き裂く人” にしかなれないのか……と哀れに思った。なんて孤独なんやろう。その行為を正当化するつもりはないけれど。


それから、ホーマーとOAはもしかしたらどの次元でも一緒にはいられないのかもしれないとふと思った。恩田陸さんのライオンハートを思い出したな。結ばれないからこその永続性。

そういえば、ホーマーはなんで記憶を失くしてたんやろうね……


最後の次元を超えてミッシェルを救い出したカリムは、インターステラーやん!!!って大興奮。本当に!これからが本題やったのに……!気になりすぎるよ続きが……!😭


ジェシーの死は、みんながそれそれに生きづらくて、苦しくて、もうそれが標準みたいになってるおかしな世の中だから、取り返しがつかないことになるまで周りが気づいてあげられなかったんだろうな。現実でも同じ気がする。


出会う人には出会うし、起こることは起こる。偶然ではない偶然はたしかにある。私もそういうことがあるのかもしれないと信じていたい派。

そういうことを「魂」とか「前世」とか「次元」とか「並行世界」とかを使ってなんとか説明しようとする人間の想像力を愛しく思うし、でも真実はきっと人間の理解や想像を超えたものなんやろうなあとも思ってる。


私たちが忘れてしまってることってどれくらいあるんやろう。宇宙の真理ってなんやろう。そういうことを延々と考えさせられる作品がやっぱり大好き。観られてよかった。いつまでも待つので、どうかどんなふうな展開・帰結にするつもりやったのか、いつか教えてほしいなあ。
綾