なんとなく観始めたつもりが一気観してしまった…… はあ大好きレミゼ愛してる……
より原作に沿ったストーリーで、とても丁寧なドラマ化だった。ありがとうBBC……
個人的に好きだったのは、ジャベールとジルノルマン。本作のジャベールは目の奥がずっと優しく穏やかで(インターステラーのあの方か…!)ジャベールらしい冷徹さをあまり感じなかった。そこが新鮮ですごくよかった。ジルノルマンは嫌味な爺さん感と憎めなさのバランスが絶妙で、原作含め今まででいちばん好きだったかも。
ファンテーヌはとことん信じる相手を間違えてしまったんだなあと、これまで以上のやるせなさを感じた。反対に、コゼットは人に恵まれていた。そういう星のもとに生まれたって言葉があるけれど、どこからどこまでが不可避的で定められたものなんだろう。考え込んでしまったな。どこかで転落をくいとめる術はなかったのかって思うけれど、それは私が画面のこちら側から神の視点で物事を俯瞰しているからこそ思えることなのかもしれない。現実の私は、たしかに起こる出来事に翻弄され、客観的には間違っていると思われるような判断を下してしまう。そういうところ含めて、「ああ無情」なのかもしれない。
最終話のラストカット含め、「ああ無情」という言葉がより合うドラマだった。原作の冒頭部分を思い出した。〈つまり言い換えれば、広い視野に立って見たとき、この世に無知と無慈悲が残っているかぎり、本書のような作品の価値は失われずにいるだろう〉
私はレミゼラブルという物語を愛していて、何度でもいろんなパターンの解釈を通して触れていたいと思うけれど、いつかこの物語が不必要な世の中がくるなら、それ以上に望ましいことはないのだと思う。
ところで、本作とは直接関係ないのかもしれないけれど、現代はネット社会におけるデジタルタトゥーやSNSなどの情報網、全世界が一つの統合に向かっていってるかのような流れの中で、ヴァルジャンのような「生き直し」がより難しくなっているんじゃないかなって、ふと思った。
赤文字のタイトルバック、めっちゃかっこよかったな。