うにたべたい

変身忍者 嵐のうにたべたいのレビュー・感想・評価

変身忍者 嵐(1972年製作のドラマ)
3.0
「吹けよ嵐!嵐!嵐!」という雄叫びと共に刀の振動を受け、細胞配列を変えることで変身の秘術が発動。
父が作った化身忍者を操り日本征服を企む恐怖の忍者集団・血車党と戦い、父の誤りを償い日本の平和を守るために、ハヤテは自ら変身忍者となった戦うのだ!

1972年、二年目に突入した仮面ライダーの大ヒットを受けて製作された石ノ森ヒーロー。
江戸時代を舞台にした特撮時代劇で、魔神斎を頭とする忍者集団・血車党を相手に、変身忍者嵐が立ち向かうストーリーです。
嵐に変身するハヤテは元血車党の忍者で、血車党の化身忍者と同じ父・谷の鬼十の編み出した変身の秘術で変身します。
バッタの改造人間だった仮面ライダーと似た境遇を持っており、石ノ森ヒーローらしい設定です。
仲間の伊賀忍者タツマキと、その子のツムジ、カスミと共に旅をしながら、毎話、血車党の化身忍者が現れ、剣を交える展開です。

嵐はデザインがとにかくかっこよく、そのまま現代の特撮番組に登場しても見劣りしないと思います。
逆に平成以降でも嵐のデザインを取り入れた特撮キャラは多数いるくらいで、仮面ライダーオーディンや、電王のジークなんかは有名どころですね。
また、平成ライダーは一度終了して、嵐のリメイクをやる企画もありました。
結局、スポンサーの意向だかで仮面ライダーが続投となり、結果、仮面ライダー響鬼が放映されましたが、元々嵐の企画だった名残で嵐要素が垣間見えとその度に盛り上がりがあったように記憶しています。
変身忍者嵐はそれほど根強いファンがいて、語り継がれる名特撮ヒーローということですね。

ただ、本放送時には苦労があったらしく、何度か大きなテコ入れを感じました。
特に序盤は、スタッフが仮面ライダーとほとんど同じだったので多忙となったためか、作りが雑な感じがあります。
重要なシーンにインパクトがなく、テンポが悪く、個人的には退屈を感じるシーンもありました。
そんな中で超ミニのくノ一姿で飛び回るカスミちゃんが救いでしたが、「忍者大秘巻」を巡る西洋妖怪との戦いの最中でまさかの途中降板。
その後もカゲリ、ツユハという姉妹が登場するのですが、カスミほどの魅力はなく、降板はショックでした。

中盤からは月の輪という、2人目のヒーローが登場します。
デザインは野暮ったいのですがかなり頼りになるキャラで、月の輪が出てきて西洋妖怪編の終盤あたり、カスミ降板以降くらいから面白くなってきたように感じました。
道化キャラのイタチ小僧が登場し、嵐の母と出会うための旅立ちという新たな物語が展開した最後のサタンの鈴編は普通に良かったと思います。
それでも相変わらず、いつの間にそういうことになったのかとクエスチョンマークを浮かべながら視聴する場面がありました。
双子だから痛みが共有されるという謎理論や、嵐に変身すると母が地獄の苦しみを受けるという謎設定が突然加わるので、やはり今見てもやはり微妙な作品です。
でも、なんかかっこよかった気がする新生嵐への変身、ガンビーム、秘剣影うつしが、視聴後しばらくすると思い出補正されて名シーンだったような気になりますね。