うにたべたい

マイティジャックのうにたべたいのレビュー・感想・評価

マイティジャック(1968年製作のドラマ)
2.9
円谷プロ制作の特撮ドラマ。
同じく円谷プロで同時期に制作していたウルトラセブンと違ってこちらは1時間枠で、アダルトをターゲットにしています。
「Q」とと呼ばれる悪の組織へ立ち向かうため、戦艦マイティ号に乗り込んで戦う秘密組織「マイティジャック」の戦いを描いた作品です。

悪の組織の野望を万能戦艦で打ち砕くという構想は海底軍艦から着想を得たそうです。
円谷英二氏は本作に並ならぬ熱意を傾けていたそうで、一時間枠の子供向けにない重厚なドラマにマイティ号の特撮が加わっています。
毎話毎話が映画のようなスリリングに満ちた展開が繰り広げられていて、奇想天外な事件と濃密なスパイアクションにより現在もファンが多いですね。

製作費も当時としてはかなり強気な1000万円強投入された意欲作だったのですが、視聴率奮わず人気は低迷、全26話予定だったのが13話で打ち切られることになりました。
個人的に、原因はコンセプトのズレと脚本にあったのではないかなと思います。
当時は007のようなスパイアクションが人気で、本作も大人向けの重いテーマを取り扱っていたのですが、シンプルではないストーリーは観ていて疲れがきました。
毎話毎話を真剣に観ると面白いと思うんです。
故に一定のファンはいるのですが、悪の組織「Q」とそれに立ち向かう戦艦マイティ号という図式に対して重厚なスパイアクションは求められてなかったのだろうなと思いました。

マイティジャックのメンバーも基本的には隊服のようなものは着用せず、背広で行動するシーンが多いです。
科特隊やウルトラ警備隊のようなイメージではなく、潜入捜査や尾行、時には格闘やアクションシーンがあります。
Qのメンバーを特定しこれを撃破するのですが、それに至るまでのドラマが全体のほとんどで、登場人物もおじさんが多いです。
正直なところ眠気を押し殺して視聴を続けることも多く、そして肝心のマイティ号の活躍シーンがほとんど無かったりします。
毎話一応登場して、例えばQの秘密基地や搭乗機を破壊するシーンもあるのですが、敵も戦艦で現れ、魚雷や砲弾で激しく撃ち合うようなシーンは無しです。
海底軍艦の轟天号は海龍マンダと戦い、先端のドリルで基地をぶち破るのですが、そういったワクワク演出もないので、マイティ号がどんな戦艦だったのか、悲しいことに印象も薄いです。

一定のファンがいるものの、一般の評価は高くなく、失敗と言わざるを得ないかなと。
ただ、一時間枠の大人向け特撮ドラマというチャレンジあったことは評価すべきではないかと思います。
やりたかったことはわからないでもなく、他に類似の作品というものも思いつくものはないため、好きな方はのめりこめる作品だと思いました。