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なぞの転校生の映画初心者のレビュー・感想・評価

なぞの転校生(2014年製作のドラマ)
3.1
岩井俊二氏の脚本、プロデュース作品。戦争で退廃したパラレル世界からやってきた人間たち。こちらの世界を見て、どう思うのか。東日本大震災後らしい、「人類はどう生きていくべきなのか」を描いた作品に思いました。ただ、作品の出来としては相当イマイチ、10話のシャボン玉シーンだけが良かった。

チープな作品と思いました。演技にCGに。お話以前に安っぽさが前面に出ている。神戸撮影監督による美麗な画面が時折登場しますが、それ以外は全然な出来。深夜ドラマらしいと言えばそうなのですが。
特に本郷氏を筆頭に演技がだいぶ漫画的でキツさがありました。もし岩井監督ならもっと雰囲気よく見せれたと思います。

お話として縦軸があまり強くなく、1話で多くの謎が登場した割りにそれが気にならせるような話になっていない。チグハグさもあり、登場人物をうまく活かせていない感じがあります。特に前半部によく出てきていた丸坊主のクラスメイトが後半全くでなくなったり。ピアノソロによって雰囲気を作ろうとしている一方で、演技とCGがトンチキ気味なので余計にギャップが生まれて雰囲気が掴みづらいものでした。

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【1話】
舞い上がる流れ星、認知症の隣人、学校に現れる幽霊騒ぎと色々な要素を詰め込んだ1話でした。主役の演技や空気感がやっぱり素人っぽさがあると思いますが、普通に楽しめる1話でした。ただ、インパクトが薄い印象。

【2話】
本郷氏のアンドロイド演技が記号的すぎてチープさを感じます。これは「インストール中」など声に出して言ったりする脚本にも問題あると思いますが、それを浮いてしまってる演出にも問題ありかと。野球のシーンの演出もチープに感じた。ただ、こういう血が通って無さそうな役に本郷氏を配役させるのはGOOD

【3話】
ようやく本当に「なぞの転校生」となった。転校生への部活の回。ショパンの音楽が鳴り響く回ですが、やっぱり空気と演技が微妙で、う~んとなってしまいます。ラストシーンでピアノを鳴らす男、それを目をつぶりながら聞く女という構成が岩井俊二っぽいですね。

【4話】
序盤で「おはよう」の言い方を真似し合うシーンが良いですね。屈託がないノリで青春を感じました。暴力団の登場する回ですが、この作品でこういったものが出てくるのが、う~んと思ってしまいます。お墓詣りのシーン、青っぽい画面と煙が美しいです

【5話】
屋上から落ちた転校生、しかし無事。ようやく不審に思い出す主人公たち(遅すぎやしないか...)。説明セリフが多く、またう~んと思ってしまう。ここまでで、1話にあった流れ星が最大の謎なのですが、それ以外は認知症の老人や転校生の理由は特に気にならないです。

【6話】
あちら側の世界の人間が多く登場する回。電撃でびりびりする演技などやっぱりチープさが否めない。先が気になるような要素が無く、何か縦軸が弱いような気がします。ラストシーンは、the神戸撮影という感じで美しさがあります。

【7話】
『アイデンティカ』という概念の登場。あちらの世界と現実の世界でリンクしあう人間、別世界の同一人物ということなんでしょう。ファンタジーというより、ずっとSF的になりましたね。ただ、結構ミニマルな感じ。
本郷さんの通常の演技も結構鼻につくといいますか、いかにもカッコイイ声を出そうとしている感じが良くない。

【8話】
あちら側の世界の姫が転校、周りからは距離をおかれ、その中、主人公と仲が深まっていく。夢に登場する死んだ妹の成長した姿と酷似する姫。徐々にわかっていくあちら側の世界。といったところでしょうか。今回、結構設定が良くでてきましたが、相変わらずCGが安っぽい。

【9話】
冒頭、OPの順再生。裏話としてOPは元々順再生だった予定を逆再生にした、本来のOP映像は9話冒頭で見れるということらしいです。あちら側の人間同士のやり取りが多くなってきましたね。あちら側の世界の人間、昭和くさい、嘘くさいという感じなんですよね、演技している感じが全開なんですよね。あちら側の世界の人間の敵役の登場、バトルもしますが、やっぱりここでもチープだなぁ

【10話】
あちら側の人間が高貴から徐々に庶民に寄っていっている回でした。シャボン玉のシーンでは挿入歌が流れ、神戸撮影の真骨頂の冷たい光という。SFから日常もの、そしてサスペンス。同級生の丸坊主や暴力団が一切登場しないのは訳ありなんですかね?

【11話】
あちらの世界の技術、歴史に関する設定を開示する回。また、あちらの世界から何者かを開示する回。「マルス」「アンゴルモア」とノストラダムスの大予言をベースに設定が作られているとわかります。急に死が多くなり、喪失感のある展開になりましたね。

【12話】
戦争で退廃したあちら側の世界の人間は、こちら側の世界を見て何を伝えるのか、何を思うのか。これを明確に描いた作品でしたね。反原発。原発によって日本は変わってしまった。それをSFファンタジーを通して描いた作品だと思いましたね。
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