映画初心者

池袋ウエストゲートパークの映画初心者のレビュー・感想・評価

池袋ウエストゲートパーク(2000年製作のドラマ)
3.1
堤監督らしいドラマ作品。ポップな堤演出の数々、暴力や殺人が時として描かれる作品ですがとても軽く見やすい。キングのキャラクターは窪塚氏の演技も相まってとても印象的。彼の圧勝です。キャラ付けがバラエティ番組みたいですよね。1人の人間の深みを見せるより人同士の掛け合いによって見せる作品。コメディの方向性として真っ当。お話の展開よりも登場人物の掛け合いが魅力な作品に思います。

池袋を舞台にした若者の群像劇。不良集団やヤクザに面識がありつつもどちらにも属さない主人公。1話完結ものがほとんどで、事件が発生し、警察も介入しつつも、主人公たちが解決しようとする奮闘を描いている。この作品、明るいけど裏がとても暗い、空元気的な登場人物が多いですね。構成が明確に決まっていなく紋切型になっていないのが良いですが、散文的でどちらの方向に進んでいるのか分からなくなる時があります。もっと若い頃に見ていたらハマっていたのかもしれません。

時折だだ滑りのギャグが出てきたりクドイなと思うシーン。全体的に演出が一辺倒で、回ごとの差別化があまり出来ていないような気がしました。1話が演出的に全開で、それをピークに2話以降は基本いつもの堤演出という感じでした。

印象的な要素
- 天井にポスターだらけの主人公の部屋
- 焼きそば
- Born To Be Wildの着信音
- チャイコフスキーの弦楽セレナード

<好きな話数>
1話

【1話】
堤演出全開の1話。良くも悪くもトリッキーな演出の数々。散文的な話の構成ながらも、アッパーな会話劇と異常行動だけで引っ張っていく力強さ。役者で言えば、窪塚洋介の圧勝、キングの少し不思議さのある魅力がとてもある。風呂場シーンで腕をぬめっと触り出す箇所はアドリブですかね、とてもエロティック。会話劇で言えば、「ボーリング敗北」「撮影現場」「レストラン」「取り調べ」の4シーンが特に力強く面白かった。

【2話】
1話と同様に堤演出回ですが癖の強い演出やアッパーさが減り、かなり平凡なドラマになったような気がします。1話で死んだ女性を殺した犯人を探し出す回だからこそ、落ち着いた演出にしたのかもしれません。しかし、その落ち着いた演出の方向の面白さが薄い。ただし、1話と同様に窪塚洋介の圧勝。中盤、無言で親指を上げるキングが最高。ラストのボーリングで私罪するアイデアも良かったです。

【3話】
2話の犯罪探しの結果、ヤクザから依頼される展開に。2話に引き続き演出は普通、今回は堤演出でないからかもしれませんが、話として2話と同様にシリアスさがあるため、この演出方向で後半も進んでいくのかもしれません。
序盤の落とし舞いの説明シーン、キングが小指を立てて、手をカッターのように空気を切り、小指を曲げる、セリフは無くとも説明してるカッコよさがありました。レンタルビデオ屋で頭突きをして棚からビデオが転げ落ちるのも良い。終盤のアクションシーンはカット割りが無茶苦茶で見辛いのがもったいない。

【4話】
1話のわちゃわちゃ感が帰ってきましたね、2話3話より好きです。しょうもないギャグも挟んでいるのが残念ですが、同年代でチームを組んで物事を解決しようとしているチームものになっているのが良い。特に、開始25分あたりのシーケンスや狭い1人部屋で5人ぐらい集まったごちゃごちゃした感じがとても良い。

【5話】
イマイチな回でした。全体的に抑え気味な演出。覗き部屋サイト:監視カメラのweb配信、執着する男とその復讐、それと同時に警察に入るのかどうなのかという内容。おおよそよくある日本のドラマという感じでしたが、終盤に出てくる鳩の死骸の数々は印象的。ホラー演出にすべきシーンをそうしていない、かなりポップで軽い本作ですがそれが悪いところが出ている気がする。

【6話】
少年誘拐回。このドラマ、1話がピークだったんですかね。同じ演出で一辺倒なので飽きてきています。
中盤、踊る男性を見ながら窪塚演じるキングが腕を丸めて袖をぶらぶらさせるの良いアイデア。

【7話】
ねずみ講の虜になってしまった母、襲われた友人の回。原作にないオリジナル回らしいですが、前半が面白いですね。空気に話しかけて頭がおかしくなったと思えば、道行く人がその空気に話しかけ始め、もしかしたら自分がおかしいのではないかと疑心し出す展開、ねずみ講本部に行きその異常さを知るシーンがお話的に面白い。映像的には特に他の回と変わらない。

【8話】
勢力に誘われる主人公を描く。演出的にも他の話数と同じ。終盤のベッドシーンの小雪の演技が最高ですね。ミステリアスの女性がキレるのが良い。ラストの「キングの像完成予想図」の画がやばい。

【9話】
前回のラストで刺された女性に関する事件解決を目指す中、また仲間がやられていくという内容。主人公が過去を振り返るなど終盤らしくなってきましたね。ただ散文的でこの内容もっと圧縮できるのではと思ったりする。誰が犯人なのか明確なので、どう接触していくかを緊迫感をもって描いて欲しかった。中盤の電車のショット最高。

【10話】
抗争争いに巻き込まれる主人公を描く。9話ラストで死んだ山P演じる少年やGボーイズの一員。次第に過激になっていく抗争争い。終盤らしさはありますが、いつもの悪ふざけのような演出もあります。勢力に板挟みされた主人公がどう決断するのかが焦点のはずが、そういった描写も展開もあまり無く、群像劇によって1人1人の思いが薄くなっている気がしますね。
太った人間が机の下に寝て、呼吸をする度に腹で机が持ち上がったりするアイデア最高。

【11話】
最終話。二重人格ネタという唐突なオチ。殴って解決したりキングが刺されたり露骨なお涙頂戴が目立ちます。平成ドラマなのに昭和くさすぎませんか。終盤もあってシリアスな展開なのですが、堤演出はその方向は上手くないなと思います。
この最終話、当時どうだったかわかりませんがかなり酷い出来だったと思います。
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