綾

ザ・パシフィックの綾のレビュー・感想・評価

ザ・パシフィック(2010年製作のドラマ)
5.0
普段、日本人として日本で暮らしていると自分が日本人だということをあまり意識しないけれど、連呼される “Jap” に、スクリーン越しでさえどうしようもなく傷つく自分がいて、やっぱり私は日本人なんだとまざまざと実感した。本当に、バンド・オブ・ブラザーズとは違う種類のキツさがあったなあ……

「天皇陛下、万歳!」銃に対して刀で突進してくる日本兵たち。無謀であるということの底力、恐ろしさ。決して降伏しない、屈さない、死を恐れない相手と戦うというのは、どれほどの地獄だろう。それこそ私は現代の日本人だから「御国のために」の裏にある一人一人の素顔を想像せずにはいられなかったけれど、アメリカ海兵隊から見た彼らが「なぜ奴らは降伏しない?」Cause they are Japs. でしかないのもまた、理解できる。

BoBでドイツ兵に対してあったリスペクトが今作の日本兵に対してはあまり感じられなくて、でもそう感じるのも私が日本人だからなのかな……とわからなくなってしまう。暴走する大日本帝国をアメリカが止めなければどうなっていたんやろう……とここまではっきり考えさせられたのも初めてで、でもだからといってWWⅡがGood Warと呼ばれるのは絶対に許せない。戦争に英雄なんていないとも強く思う。ここはもうちょっと自分で掘り下げたいし、勉強したいな。

ドラマとしてのクオリティーは期待通りすばらしかったし、ようやく観られて本当に嬉しかった。また必ず観たい。三部作の3作目も、今からとても楽しみです。

オープニング音楽が頭から離れないなあ…… どのエピソードもすばらしくて、分かり易い主役を立てない構成も大好きだった。でも、変わりゆくユージーンの表情が、いちばん心に残っているかもしれない。観られて本当によかった。
綾