浅野公喜

ストレンジャー・シングス 未知の世界 シーズン3の浅野公喜のレビュー・感想・評価

4.2
人気オカルト系ドラマシリーズのシーズン3。番組史上最大最強のクリーチャーが登場し、その映画並の完成度の高さにまず驚きます。

そのクリーチャーは次々様々な人間に寄生する点は「ヒドゥン」をちょっと連想させ、序盤のネズミにも寄生する辺りの描写はかなり強烈。また、同時進行でソ連の連中もやって来て「レッドブル」のシュワちゃんや「ロッキー4」のドルフ・ラングレンの役のような屈強・冷徹・無口なステレオタイプなキャラまで登場(笑)。

男子4人は以前より全員で行動する事が少なくなり、ちょっと孤立気味なウィルに感情移入。個人的に好きなダスティンはスティーブやその同僚のロビン(結構知的)にルーカスの妹のエリカ(こちらも結構知的)達とショッピングモールの謎に迫りつつ、グループの中では主導権を握り活躍するのが嬉しく、終盤の「ネバーエンディングストーリー」は好きなシーンとなりました。女子グループのエルはマックスと共にモールで買い物したり前よりお洒落に。重要な人間が終盤退場するので驚きも大きかった今シーズンですが、別れや引っ越し等も含め一つのドラマとしてここで完結しても違和感無い作りとなっています。

主戦場となるモールは青赤ピンクのネオンライトがお洒落で、スティーブやロビンが働くアイスクリーム屋のマリンルックもかっこかわいかったり、よく見ると「TEPPAN-YAKI」なるお店も有ったり注目する点が幾つも有りました。

挿入歌ではMadonnaの「Material Girl」「Angel」がやはり目立ちますが、序盤で流れるカナダのCorey Hart「Never Surrender」(曲が流れている最中彼と同郷のBryan Adamsのカセットも映る)、マイクやナンシーの母カレンがビリーに会う為に化粧する所で流れるCutting Crew「(I Just )Died In Your Arms Tonight」等も印象的(85年にはまだ発売してませんが)。

映画ネタも豊富で、85年が舞台だけに「BTF」「死霊のえじき」が上映していたり、同時期の作品(「オズ」、「フレッチ 殺人方程式」、「ダリル」、アイスが人を襲う「ザ・スタッフ」(!))も文字で登場しています。8話目でスティーブとロビンがレンタルビデオ屋に行く所では「すてきな片想い」、「炎の少女チャーリー」がポスターで貼られてたり店内では「レポマン」のエンディングがテレビに映ったりフィービー・ケイツの等身大パネルが置いてあったりと芸の細かさには驚くばかりです。ちなみにこの時ロビンは好きな作品の一つに黒澤監督の「隠し砦の三悪人」を挙げており、スティーブとは対照的に文化的素養を感じさせます。
浅野公喜

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