簡単にいえばママレード・ボーイの前日譚みたいな話でした。

引っ越してきたお隣さんが、それぞれ自分の現在の好きな人という、修羅場になりそうな
未来が見える展開にゾクゾクしました。

1話目の出会った時点で、岸谷五朗が鈴木保奈美の指にキスしてましたし、かなり早い段階でラブラブでした。

修羅場になると思いきや全員の利益が一致しているので、結構すんなり解決してそこも裏切られました。

ラストはものすごく良い話ですが、感動に持っていきすぎて、感動を押しつけられてる気持ちになりました。

結婚相手への不信を抱きながらそれぞれの結婚式を控えた折に偶然出会った男女のラブストーリー。野沢尚脚本の普及の名作ドラマ。

FODにて年末年始に期間限定で配信されていたので、再放送の２０年くらいぶりに観た。

相手を想うがゆえに、密やかに互いの結婚生活を励まし合い、自分のパートナーを蔑ろにすることなく、一線を超えない関係は、裏切りになるだろうか、という問いは考えさせられる。

二人は関係を隠して夫婦そろって交流するが、実は二人のそれぞれのパートナーは元恋人同士、男の妊娠中の妻が身籠る子どもはどちらの子かわからない、という水面下のドロドロの状況がありながらも、男が妻を愛そうとする努力をし、女はそれを励ます形で深まる愛には清々しさを感じる。
後半は、元恋人同士が元の鞘に収まる形で夫婦関係はリセットされるが、男には深い傷、女には忍び寄る病魔により、二人の前に大きな壁が立ちはだかる展開はやりきれないものがあるが、前半の展開で育んだ愛によりすくわれる結末に感動を覚えた。

野沢尚作品には、素晴らしいものがたくさんあるけれど、心に深く刻まれ、なかなか立ち消えない、幾度も繰り返し観たくなるのは、このドラマだ。

心で繋がり合う愛、その炎はどちらかが先に命を終えたとしても、消えはしない。

肉体の愛を語り合う不倫ドラマは多いが、肉体を超えた精神の愛、手紙という言葉で積み重ねた愛、その誰もが成し遂げられないような究極の世界をこの物語は見せてくれる。

真っ赤なブーゲンビリアの風景が脳裏に刻まれ、決して心から離れないこの作品は、まさに視聴者にも永遠があることを深く証明したように思う。

またこれからも何度となく観るだろう。
一生愛することのできる作品。
このドラマに出逢えて、幸せだ。