めしいらず

Dr.コトー診療所2004のめしいらずのレビュー・感想・評価

Dr.コトー診療所2004(2004年製作のドラマ)
3.4
初恋、親友とのいざこざ、己の人生への覚悟と、タケヒロの勇気が試される回。星野の妻マサヨの発病と重い後遺症の厳しい介護、兆候を見過ごしてしまった夫と娘アヤカの後悔が並行して描かれる。長尺な二話分をかけたおかげでそれぞれのエピソードがじっくり丁寧に描き込まれていて見応えがあった。直面した難しい問題を前にして逃げ腰になってしまうそれぞれの心のリアル。離れてしまいそうな関係性。それぞれの思いを一旦受け止め、熟考を促し、当事者間を橋渡しする医師コトーの誠実な態度。父タケトシから息子タケヒロへの厳しい言葉に込められた覚悟と息子への思いの丈にやはり心動かされてしまう。腰を据えて夢に向かう道筋は、進むと決めたその瞬間から始まる。もし今がガタついているならそれを語る資格など端っからないのだと。突き放したようでいて我が子への深い愛情が伝わってくる。また介護の辛い現実にマサヨ本人の気持ちを見落としていたことに父娘が気づく場面の美しさ。妻が乗った車椅子をゆっくり押す夫と、それを離れて見守る娘。言葉に依らぬ夫と妻の、親と子のつながり。一緒にいても、離れても、家族はずっと家族のまま。
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