このレビューはネタバレを含みます
「誰がベンを殺したか」というドラマかと思ってたが、それよりも殺人事件の立証・裁判の危うさを露わにする作品っていう印象が強かった。原作本の作者が元検察官らしく、納得。状況証拠しかないんだから、誰が有罪になっても無罪になっても疑問は残り続ける。
最近どこかで「男の子の育て方」みたいな記事をチラ見した記憶があるが、ネットでなんでも探せる現代に、特に日本のような男尊女卑が根強く残る社会で、加害性のない子を育てることの難しさも感じた。ジェイコブが犯人であろうがなかろうが、裁判中に明らかになった彼の秘密は「10代の男の子だから」で済む話なのか、と疑問に思うと同時に、一度も加害性を見せなかった彼を非難して良いものなのか、とも思う。
主人公家族や、特に夫婦間の繋がりが感じられず、事件をきっかけに腹を割らざるを得なくなり絆を強めるのかな?と期待していたら、最後の最後までお互いを理解しないまま終わってしまったので気味が悪い。が、それが作者の意図なんだろうなと思わせるラストショットでした。