さく

僕らのままで/WE ARE WHO WE AREのさくのネタバレレビュー・内容・結末

僕らのままで/WE ARE WHO WE ARE(2020年製作のドラマ)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

イタリアにある米軍基地という非常に狭いコミュニティの中に詰め込まれた人々、その中でも自身のセクシュアリティに向き合い、葛藤する14歳の若者2人に焦点を当てたお話。

フレイジャーと母親(ゼヴィニー)について。IMDbではフレイジャーの言動に対する批判が多かったが、母親との関係性がああだと仕方がないように思えた。同監督作品CMBYNを引き合いに出すなら、フレイジャーには年上の理解者(=エリオの両親やオリバー)がいない。もう一人の母親マギーがそんな存在になり得そうだが、母親同士の関係上あまり深くフレイジャーに関われないという悩ましさがある。ジョナサンも年上ではあるが言動はかなり軽率で、そうなる理由も特異な関係性(フレイジャーが大佐の息子)と少し語られた彼の流されるように生きてきた過去を考えると納得もいく。そんな孤独な環境であの母親だから、発作的な行動や暴力や発言を起こしたりするのはすんなり納得がいった。
ゼヴィニー演じる母親も、もう少し背景が分かれば良かったなあと思う。

10代若者の流動性について。主人公2人は当然じっくりcharacter developmentがあり、ケイトの父、母、兄も背景がうっすら感じ取れる要素が描かれていた。その一方で、若者グループは自由奔放・酒/ドラッグという典型的・表面的な描写に偏った印象があった。彼らの抱える葛藤部分があまり描かれなかったため、「現代の若者の流動性」が彼らからは感じ取れず残念。もちろん、たった8話でそれをしたら複雑になるのも分かるが。
アフガニスタンへ派遣されたクレイグの旅立ちシーンは、まさに王道のcoming-of-ageって感じでグッと来たけど。

ストーリーや設定の整合性について。米軍基地ならばおかしいだろうという部分(階級上位の軍人が軽率な行動したり)が多々あったのが残念だけど、一番怪奇だったのはロシア人の豪邸空き家。台詞聞き逃しただけかもしれないけど、空き家なら結婚パーティーで荒らした後、2回目侵入時に綺麗に掃除されてたのおかしいし、空き家じゃなくてたまに使用してるなら普通セキュリティ強化するだろうよ…。

総評としては少し残念だったけれど、フレイジャーとケイトの葛藤と成長を描いた部分は非常に素晴らしかったと思うし、音楽と撮影だけでも十分楽しめる作品だと思う。
さく

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