ノラネコの呑んで観るシネマ

呪怨:呪いの家のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

呪怨:呪いの家(2020年製作のドラマ)
4.6
Netflix。
三宅唱によるドラマシリーズだが、ムチャクチャこわい。
「呪怨」シリーズは最初のVシネ版の2本だけが至高。
あとは全部焼き直しと思ってたが、これは30分6話の連続ドラマというフォーマットを生かしきり、新しい可能性を見せてくれた。
もはやお笑いと化していた、近年の映画シリーズとは別物だ。
本作が秀逸なのは、1988年を起点とした10年間、昭和と平成にまたがる日本の恐怖のクロニクルとしたこと。
ある家に関わった人たちがことごとく呪われる、という基本部分は同じだが、彼らを襲う恐怖はこの時代に実際に起こった、数々の事件を思わせる様になっている。
背景には女子高生コンクリ殺人から、阪神大震災、オウム事件、酒鬼薔薇事件など、時代を震撼させた大事件が配され、誰が見ても元ネタが分かるMくんなる人物まで。
10年に渡る物語は、登場人物が非常に多く人間関係も複雑。
呪いの家に関わってすぐ死んじゃう人もいれば、全然影響を受けない人もいて、このあたり映画だととっ散らかってしまうが、連続ドラマならではの作劇。
97年の夫がなぜプチュっとなってしまったのかとか、色々よく分からない描写も多いのだけど、それも含めて不条理な恐怖。
これ一応シーズン1になってるが、もしかして次も10年単位で作ってくるのだろうか。
いずれにしても、すっかり手垢の付いた素材を見事にリブートさせた傑作で3時間があっという間。
これはやっぱ配信でしか作れない作品だな。