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花郎(ファラン)のCisaraghiのレビュー・感想・評価

花郎(ファラン)(2016年製作のドラマ)
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6世紀、新羅・高句麗・百済の三国が並び立っていた時代の新羅が舞台。パク・ヒョンシクが、逡巡し苦悩しながらも志を高く持って王になることを目指す若く賢明な王子を好演。真興王(チヌンワン)は新羅を飛躍的に発展させ、三国統一の足掛かりを作った新羅史上でも特別な王様らしいので、おそらく韓国の人なら誰もが一般常識としてその名前を知っているような存在ではなかろうか。

ヒョンシク君、王子に相応しい備わった気品があり、ストレートなロングヘアも似合う。アロに対して超率直にアプローチしつつも無理や強引さは感じさせず、途中のアレはともかく、全体的に微妙な距離をちゃんと確保しているのが好感度高い。パクソジュン演じるソヌとは対照的。時折見せる自信のなさも、自分は民の力になれるのか?を真剣に問うていればこそ。パクソジュンがきっかけで観始めたのに、完全にパク・ヒョンシクファンになって終わった。

それぞれキャラが立っているイケメン揃いの花郎メンバーたちの関係性も魅力。花郎とは、見た目麗しく優秀な若者を、文武両道において鍛えつつ神国=新羅に貢献する人材に育成する宮廷直属の青年組織、みたいな感じか。主要花郎メンバー6人の中で末っ子でもあるBTSのテテは、その5歳児マンネ力を遺憾なく発揮、ハンソンのエピソードは特に心に残った。
 しかし、美しい雄の子たちを惜しみなく見せて下さるのは実に有難いが、入浴シーンのサービスショットなどもはやセクスプロイテーション、いいのだろうか? 

美しさで魅了するのが一つの狙いとなるドラマだけあって、花郎や着飾った女性たちのみならず、出てくるもの全てが美しく、衣装、内装、セット(手打粕手!)、ロケ地の風景、お天気までもが美しい。照明さんが非常にいい仕事をしているのでは。衣装がパステル調の韓流時代劇は、渋い日本の時代劇や重厚な中国の時代劇と違って、軽やかで明るい。時代劇の見どころでもある美術・衣装は、約束事にとらわれず自由でカラフル、かつかなりセンスよかったのでは。意外におじさんたちの着ている衣装が花郎以上にお洒落だった。それにしても、女性も男性もお肌が陶器のように白くて美しいこと…。特にスヨンちゃん。

パクソジュン演じるソヌは、強引さや尊大さや横柄さが男らしさとして描かれているようなタイプで苦手…。ワイルドさと無礼さを混同してない?大声で怒鳴るのもアウトだし、断りもなくアロに触るのもNG ( このあたりは2016年のドラマ。今なら少し違うかも )。かと思えばやたらデレデレいちゃいちゃするし、アロとソヌのラブラブパート、あれあんなに要るのかな?それにパクソジュン、長髪似合わねぇ…という、心がすっかりパクソジュンから離れてしまうドラマだった笑。梨泰院クラスからの遡り組なので、今後に期待。ただ、梨泰院クラスにもデレデレいちゃいちゃパート結構あったから、パクソジュンにはそういうものが求められているのかも?
 アロとソヌのラブコメパートは、総じて構図が古い上に笑えなかったのに対し、パンリュとソヨンちゃんのカップルは、ソヨンちゃんのコメディエンヌぶりとパンリュの見た目とのギャップがラブコメらしくて微笑ましい。
 
ちなみに、フラれた方はどうなったかというと、歴史上では結局あの異父妹である叔明王女と婚姻を結んだらしい。この時代の新羅では、今ではタブーである近親婚が普通に行われていた模様。

後半の見どころ政争パートには韓国映画に見られるエグさもあって、なかなか見応えあった。ミスリードを誘う話の持って行き方などもさすが。ソヌが突然意識を失うのは何だったのか、大后とアンジ様の関係、アロの母は何者なのか、大后は何故自ら手を下したのか、など全てウヤムヤにされて何の回収もなかったけれど、基本はラブコメ時代劇なんだかんね、と念押しするように終わり方も軟で緩。風月主のウィファ、多易書の店主ピジュギ、梨泰院クラスで敵役の社長だったとは思えない王子の護衛のパオ22歳など、おじさんたちが可愛くコメディ部分を担っていたのも脱力効果あって楽しかった♪
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