えぬ

18アゲインのえぬのレビュー・感想・評価

18アゲイン(2020年製作のドラマ)
4.0
大好きだった『ゴーバック夫婦』と同じ演出家によるドラマとのことで、最初から最後まで楽しく見ました。心にジーンと来るセリフやエピソードがものすごく多くて感動と涙の連続で心の底から堪能できたし、中だるみも無駄もない充実したストーリーで良かった。

でも残念ながら、自分の中ではイ・ドヒョンとユン・サンヒョンがうまくつながってくれず…で、若いイ・ドヒョンが高校生の双子と過ごす前半はすごく楽しく見れてたものの、キム・ハヌルとの夫婦間の話になるとちょっと苦戦気味だった。というのも、ひとえにイ・ドヒョンがあまりに鮮烈にかっこよすぎ・人物的にも魅力的だったせいだと思う。なので、キム・ハヌルとの年の差を必要以上に感じてしまい、夫婦間のエピソードはちょっとしっくりこなかった。やっぱり若い子は若い子同士、大人は大人同士の方が私は好きみたいで、キスシーンまで何度も必要だったのかな?と。高校生同士のカップルがすごくお似合いで猛烈可愛く見えたせいもあると思う。もちろん18年後の夫婦同士もすごく自然体な二人でした。

イ・ドヒョンとユン・サンヒョンはタイプの違う顔立ちなので、見た目ではあんまりつながらないのは見る前からわかっていたけど(またそこが重要ではないことも承知の上)、年齢を重ね見た目が変わっても継承されるであろう要素・共通する何かが二人の間にはあまり感じられなかった。求めすぎとは思うのだけど、ぱっと見で何かたとえ小さくても重なる部分があって欲しかったというか。もちろん子供や妻に対する言動では、イ・ドヒョンは父親・夫の言動そのままだったし(それがまた魅力的な人物に映る)、その演技もすごくうまくて良かった。自分がちぐはぐ感を一切感じなければもっと楽しめたかなと感じた。

キム・ハヌルの演じるキャラクターも、洗練されかっこよくもハートの温かい素敵な女性でものすごく好感度高かった。そのせいか、演技がもう少しうまければ…という不足感も感じてしまった。でもぶち壊しというほどでは全然なく、ところどころちょっと感動が薄れたかな、もう少し頑張ってくれたら…という程度なので、ほとんどの人は気にならないと思います。韓ドラ見てると演技の上手い人があまりに多いので、見れば見るほどどんどん目が肥えてしまうのがコワイ。

高校生の双子二人は、きょうだいでも性格も個性も全然違って、でもそれぞれ親のいいところをしっかり受け継いでいたりして、いい子たちでとても可愛かった。友人たちもキャラや個性があって、わちゃわちゃした高校生らしい友情もかけあいもすごく楽しく見れた。

夫婦の高校時代からの友人のイ・ミド、好きな女優なので、今回いい役で見れてとてもうれしい。『お父さんが変』以来かも?

二番手男性とのエピソードも楽しかった。韓ドラの二番手男性がすごく魅力的で惜しい!と感じるのはいつものことだが、今回も「この人でも…」と思ってしまうに十分な人物で、見てて楽しい。彼とは不思議な縁というか、夫婦それぞれが思わぬところでつながってたりするけど、そのつながり方がやっぱり夫婦ってどこか似た者同士だったりするんだな、同じような性質の言動をとるんだな、と納得のいい話になってて、ますます満足。

普段あまりに近くにいすぎると見えなくなってしまうこと・気恥ずかしかったり相手のことを思いやって言えずに隠していることなんかが出てきてしまい、そういうのがどんどん増えて重なっていってしまった悲しいすれ違いなんかを、若返ってた主人公がもう一度見つめなおして一つ一つ丁寧かつ真摯に解消していくので、見てて楽しくないわけがなかった。

ただ『ゴーバック夫婦』でもあったのだけど、ちょっとギャグをやり過ぎるところがあったりとか、ものすごく嫌な人物を出してきたりするのだけど、この演出家はどうもそういうのが好きみたいで…。脚本がとにかく良かったし、話もちゃんと面白いし、俳優陣も熱演揃いだったので、そういうのは余計というかない方がすっきりというか、いらなかったんじゃないかな?と。単に自分がセンス合わなくて好きでないだけかもしれませんが…。今回はJTBCだったけど、ヒューマンドラマの名作の多いtvNだったら、こういうのはあまり挟んでこずに隙のない完全ウェルメイドにガッチリ仕上げてくるような気がする(そして見た際の満足度もぐっと上がる…と)。そういうのがなくても十分このドラマは名作だったと思うので。でもこの演出家は笑って泣ける楽しいドラマを目指しているので、敢えてこういう感じにしているのかも?という気もします。

OSTも良い曲が多かったのだけど(←CD買った)、劇中での曲のつなぎ方がちょっと乱暴なところが目に付いたのが残念。直前まで別の曲が流れてたのにキリの良くないところでバサリと乱暴に切られて、また違う雰囲気の別の曲が突如流れ出す…みたいなことが何度かあったので。もう少し丁寧にできたと思うのだけど…。そしてこういう細かいところでもクオリティを上げる努力を重ねると、やっぱり見た際の満足感が変わってくると思う。こうもいいドラマだと求めるものがどんどん増えてしまうのも、贅沢が更なる贅沢を呼ぶ感じで、これまたコワイ。

また中盤では別のケーブル局の別のドラマのOSTが流れてきて「あれ?」という気分に。韓国ドラマのOSTの曲って曲単体で聞いてもクオリティの高い物が多いが、やはりドラマのシーンに合わせて本当にうまく作り込まれていて、効果的に盛り上げる用い方も韓ドラは得意なので、曲とドラマの場面とその時見ていた自分の感情との一体感がものすごく、別のドラマの曲を持ってこられると、別のドラマのシーンの方を思わず思い出してそっちの気分に浸り始めたりしてしまうので、あんまりやらないで欲しいなと思いました。
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