制御不能レベルの面白さ。
なぜこれほど惹きつけられるのか、自分でも分からない。
まったく知らないチェスの話なのに。
最終話では、3回泣いた。
2つの電話とひとつの公園。
「天才と狂気は紙一重」
すさまじい才能。
すさまじい人生。
チェスと薬、そして酒に囚われた人生。
「独りは平気」
継母アルマの存在位置が面白い。
一見、娘ベスを金づるとしか見ていない、ステージママ。
次第に分かる。
突き抜けた諦観。
すべてが彼女にはどうでもよい。
もちろん娘のチェスも。
お金稼ぎの手段でしかない。
そのドライさが、ベスには快適な距離感なのだろう。
「チェスだけが人生じゃない」
共犯者であり、運命共同体。
そしてベスの俗世界とのつながりとなる「錨(アンカー)」だった。
常にベスはチェスの盤上の世界とは別に、この世につなぎ止めるアンカーを必要としていた。
それをすべて手放した時、すべてを失う。
自分自身も。
衣装、美術、セット。
レトロでセピア基調の世界観が美しい。
「怒りは武器よ」
アニャ・テイラー=ジョイの上目遣いのつぶらな瞳が、威嚇しているように見える。
ベニー・ワッツを演じるトーマス・ブロディ=サングスターと並んで座るシーンでは、二卵性双子に見えるくらい、似通っている。
一瞬そういう「オチ」があるのかと思ったくらい。
「創造と心の闇は表裏一体」
才能に翻弄され、才能に救われる。