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その女、ジルバのmaのレビュー・感想・評価

その女、ジルバ(2021年製作のドラマ)
4.5
「はじめまして、きれいな靴のわたし」

40歳の誕生日、届いたお祝いメールはネット通販からのみ。大手百貨店でのアパレル店員から「姥捨」と揶揄される倉庫に左遷された笛吹新。ある日偶然見つけたのは、「40歳以上のホステス募集」の貼り紙が貼られた1軒のバーだった。


リアタイしていたけど当時は途中離脱してしまったので、改めてネトフリで視聴。面白かった〜、、

「40だから」と化粧もせず、暗い色の服を着てぼんやりしていた新が、「オールドジャックアンドローズ」に出会い生まれ変わる様子に胸がギュ〜ッとなる。今、これを書きながら、輝く新を思い出すだけでも涙が浮かんでくるほどに。

決してあったかいだけじゃない。悪意のある人だって出てくるし、消したくても消せない過去や悩みがそれぞれにある。しかし、その苦難さえ飲んで歌って踊って笑って乗り越えようとする、パワフルなお姉さま方にも元気を貰える。

戦後の混乱、移民の息苦しさ、3.11やコロナ禍。さまざまな要素を取り込んでまとめ上げ、「それでも生きていく」強さを見事に描いたストーリーに拍手。

いっつも同じお客しかいないけど大丈夫か?💦と思うのは野暮なので置いておくが、常連客の中でもわたしは浅山さんが大好き。

浅山さんは、ホステス「エリー」と相思相愛の、和製ミスタービーンみたいな容姿のおじさんなのだが、なんとも愛らしくてずっと見ていたくなる。クリスマスにエリーが用意したセーターを最終話でも着ていて最高だった。スピンオフとか観たかったな。

主演の池脇千鶴も見事。第1話のあの、もったりした感じが、回を追うごとになくなっていき、溌剌と可愛らしくなっていく。終盤ではすっぴんでぼーっとするシーンも出てくるが、それがもう最初のすっぴんとは大違いなのだ。その内面から滲み出る美しさこそ、オールドジャックアンドローズが新にもたらしたものなのだと思う。

そして、この作品も江口のりこが光る光る。
江口のりこ演じるスミレは、新が働く倉庫のチームリーダーをしている正社員。新ともうひとりの出向組であるみかにやたら厳しいのだけど、それにはきちんと理由があり、またほんとうの彼女はとても純粋で可愛らしい人で、、スミレの変化も泣けるので、江口のりこが好きな人はぜひぜひ観ていただきたい。
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