ひろぽん

ゴースト/ニューヨークの幻のひろぽんのレビュー・感想・評価

3.5
ニューヨークで陶芸家の恋人と暮らす銀行員のサムが、ある日暴漢に襲われ命を落としてしまう。だが、その死が陰謀であることを知ったサムは、天国に行かずゴーストとして恋人のそばに残り彼女を守ろうと決意する。インチキ霊媒師のオダ・メイと出会い、彼女を介して恋人を助けていく愛の物語。


銀行員として恋人のモリーと幸せに暮らしていたサムが、ある日暴漢に襲われ突如命を落としてしまい、なぜかゴーストとしてこの世に留まることに…

2人で広い新居に引っ越してからの生活は誰もが羨むほど幸せそうで、将来もこれから考えて楽しい人生が待っているだろうなとウキウキしていた。

夜中にモリーが眠れず陶芸をしているところにサムが入ってきて、2人でろくろを回しながらThe Righteous Brothersの『Unchained Melody 』がレコードから流れて愛し合っているシーンが映画史上に残る最高の名シーン。

「Woah, my love, my darling
I've hungered for your touch
A long, lonely time
And time goes by so slowly
And time can do so much
Are you still mine?
I need your love
I need your love
God speed your love to me ♪」


サムが亡くなってからこの世に留まり続けた理由は、モリーに危険が迫っているというより“愛してる”と伝えられずに“同じ”という言葉を使い続けていた後悔の念に駆られていたからなんだろうな。

恋愛要素はあったものの、思っていたよりも中盤以降ホラー要素が強まっていくという恋愛×ホラーというのが良かった。

親友だと思っていたカールの裏切りや、サムが亡くなってから日が経っていないのにそんな彼に流されそうになるモリーの行動は観ていて悲しくなる部分があった。

ゴーストとしてそれを見守るサムの心境を考えると本当に切ない。

インチキ霊媒師で過去に犯罪歴のあるオダ・メイに実は霊感がちゃんとあったという設定は面白かったし、彼女の欲にまみれた自分の感情と葛藤しているシーンが人間らしくて好きだった。

何のメリットもないのにサムに付き合う彼女の人柄の優しさは元犯罪者とは思えないほど性根が良すぎる。

モリー演じるデミ・ムーアの涙がとても美しくて心に沁みた…

後半はサムの復讐劇のようになっており、爽快だった。そして、勧善懲悪の概念が強く、悪い行いをしている人が死後悪魔のような化身に連れ去られていくシーンが怖かった。

現代でも十分楽しめる色褪せない純愛映画。

伝えたいことは後回しにせず、その時に伝えることの大切さを教えてくれる作品。

愛の詰まった“ditto”が素敵!
ひろぽん

ひろぽん