さいごん

HOMESTAYのさいごんのレビュー・感想・評価

HOMESTAY(2022年製作の映画)
3.5
日本初のアマゾンオリジナル映画。
森絵都の小説「カラフル」を元に4度目の映像化。
その中で恐らく一番有名なのは原恵一監督のアニメ版。
ただ、他の方のレビューで知りましたが、この映画の1番の元となっているのは小説でもアニメ版でもなくてタイで映画化された「ホームステイ ボクと僕の100日間」みたい。
予告編を見る限りは確かに映像表現が酷似していてタイ版のリメイク作品と言って良さそう。
ちなみに可能な限りあらすじ等は調べましたが不勉強ながら原作小説未読、映像化作品視聴はアニメ版のみです。

という事で小説→タイ版→この映画と作られた中でどの時点からあった問題かは分からないですが、正直この映画は上手くいってないなと思いました。
ハッキリ結論を言えば、説明過多と分かりやすい綺麗事への着地がすっごくテレビドラマっぽい。

恐らく原作のメッセージとはかなりニュアンスが変わっていると思うし、そうじゃなかったとしてもこの映画の中でも「色んな色があっていい」「カラフルでいい」と言っている。
でもこの映画の着地点はカラフルでもなんでもなくよくある綺麗な一色に思えてしまう。

原作にないLGBTの要素を絡めたのは上手いと思ったけど、本当に表面を撫でたくらいでこれくらいの扱いしかしないならむしろやめた方がよかったんじゃないかと。
一時が万事、こんな調子で深い事言ってそうなんだけど踏み込んでほしいところの2歩も3歩も手前で止まってしまう。

テレビドラマなら許せても「Amazon original映画」と銘打っているのにこれはちょっとどうなのかと。
瀬田なつき監督のインタビューを読んだけど、誰にでも見てもらいやすいところを目指したと本人が言っているから狙い通りではあるんだろうけど。
ただ、監督の今までの作品見てるとそれが本意だったのかは疑いたくなっちゃうよなぁ。

個人的には今までのアマゾンオリジナル制作の作品を見る限りちょっとアマゾンの制作体制には信頼感はないです。
実際にアマゾンのレビューでは高評価なわけで、客層を考えたらアマゾンとしてはこれで良いと思ってそうだし。
映画の在り方そのものが変わってきてる時代に作品はまだこのレベルなのかとちょっと不安になりました。

ちなみに瀬田監督の絵作りはやっぱり好きだし、山田杏奈さんも凄く魅力的。
単純に違う題材でストレートな青春映画を作っておけば良かったんじゃないかなー。
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