悲惨で永い悪夢の末に、生命の神秘•世界の美しさすら感じさせる”怪作”
崩壊するバベルの塔、欲に塗れた支配者、ゴミのように扱われる労働者、拷問を受け続ける弱者、糞だらけの人間社会、戦争が止まない世界、頭の中から体の奥底まで漁る医者、怯えながらも後悔に溢れる看護師、動物を弄ぶ者、地獄の末に解剖される主人公
そんな刺激的な登場人物に脳が満たされる。
全編において、様々なクリーチャーをCGなしで撮影し、この世の闇をリアルに描写した内容へ感服。また、その随所に感じられる社会表現や、フィル•ティペットの価値観に鳥肌が立つ。そして、こんな地獄を描いた作品の幅広いメッセージに処理が追い付かない….!苦痛と臓物だらけの解剖シーンで、富•知識•未来への羨望が溢れ出る様子は強烈であり、深い余韻が残った。それから、生命の終末の中に宇宙の始まりから終わりを描いたラスト!このシーンは、理解や共感なんかを超越した感動に圧倒された。
今作を完成させた監督の執念が、幸福や闇を孕む世界へのエールになる至高の映画。